上はユリミゴケ Tetraplodon angustatus です。 2021.7.8.に秋田駒ケ岳で撮りました。 蒴の美しい姿は見られませんが、この時期ならではの造卵器と造精器が確認できました(下の写真)。
茎の上部につく葉は長く、4mmほどあります。 茎の下部は密に仮根に覆われていて、上の写真の左半分は仮根がとても密に絡み合っていて、そこに土の粒子が入り込んでいる状態です。
本種は腐った動物の死体や糞の上に生えるのですが、そのようなものは全く無く、においもありません。 蒴もにおいを出してハエを呼び、胞子を運ばせるのですが、この時期の蒴もにおいはありません。
造精器と造卵器については後に書きます。
上は胞子体をつけている茎です。 茎は完全に緑色を失い、もろくなっていて、仮根が絡み合っている茎の下部は切れてしまって取り出せませんでした。 この茎はこのまま枯れていくのでしょう。
蒴は胞子が入っている壺よりも、頸部がとても長くなっています。 胞子を散布している蒴では、頸部からハエを呼び寄せるにおいを出すのですが、このにおいは頸部で合成されるのだと思います。 つまり頸部では活発な化学反応が必要となり、そのために・・・
上は蒴の頸部の表面ですが、たくさんの気孔があります。
2枚目の写真のように、この時期の造精器のある場所は、外から見ても分かります。 上は造精器を保護している手前の葉を取り除いて撮った写真で、たくさんの造精器と側糸が並んでいます。
上は造精器を覆っていた葉です。 造精器を紫外線から守るためでしょうか、造精器に接していた所にはカロテノイド系と思われる色素があります。
この葉は他の葉に比較すると、幅はあまり変わらず、長さが少し短めです。 また歯はあまり目立ちませんが・・・
長い葉には、上縁の上半部に不規則ながら明瞭な歯があります(上の写真)。 なお、どの葉も葉先は漸尖しています。
本種は雌雄同株です。 上は少し乾いてきていますが、茎の上部の拡大で、①は上で見た造精器のある所です。 そして②と③が造卵器のある所です。 ③は葉を取り除いて造卵器が見えるようにしてあります。 ここをもう少し丁寧に葉を取り除き、拡大したのが下の写真です。
気泡がたくさん入ってしまいましたが、上では3個の造卵器がありました。 いくつか調べてみたところでは、3~5個の造卵器が集まっている場合が多いようです。
◎ こちらには胞子を出しているユリミゴケを載せています。