上は葉をすぼめて乾燥に耐えているシダ植物のウチワゴケ Crepidomanes minutum です。 乾ききった岩上で撮った写真で、普段のよく見る姿(こちら)とは全く違います。
蘚苔類の多くは変水性があり、乾燥に耐えることはよく知られています。 本種を含め、蘚苔類によく似た生活をしている小さなシダ植物も、いちどの乾燥で枯れてしまうのではなく、何らかの乾燥に耐えるしくみを持っているはずです。 そのことを確認しようと、少し持ち帰りました。
上が持ち帰ったウチワゴケです。 茎は長く岩上を這っていて、その周囲には黒褐色の毛が密生していますが、少なくとも発達した長い根は無さそうです。 これに霧吹きで水を与えると・・・
上は水を与えて 10分後の様子で、水を吸収して葉を広げています。 この実験では、全体に水をかけていますので、どこで水を吸収したのかは分かりません。 毛に紛れてひげ根があり、そこで吸収した水が葉に送られたのかもしれませんし、葉自らが吸水したのかもしれません。 しかし本種に近く、もう少し葉の大きなコウヤコケシノブでは、葉から吸水していることを確認していますので(こちら)、たぶん本種でも葉から直接水を吸っているのではないかと思います。
もちろんシダ植物ですので導管もあるはずで、その確認のために茎の断面を作ったのが下です。
上は茎の断面です。 周囲に伸びているのは毛で、維管束はありません。 茎の中央部には維管束組織があり、下はその拡大です。
導管が確認できます。 師管は細く、上の写真でははっきりしません。 主に吸水しているのが葉だとすれば、導管はそれぞれの葉をつないで水の過不足の無いように調節する役割をしているのでしょうか。
(2021.2.1. 箕面国定公園)
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