昔に作成したホームページで、更新しないためにPRが邪魔をして読めなくなってしまった記事が出てきています。 下はそこからの移植ですので、写真は昔のままの小さいサイズです。
なつかしい田端義夫さんのヒット曲に、♪赤い蘇鉄の実も熟れる頃、・・・という歌がありました。 しかし、そもそもソテツは裸子植物で、種子は作っても実はつけません。
ソテツは雌雄異株です。 10月になると、雌株の茎の頂には、上の写真のような、球形のものが見られます。
少し壊して中を覗いてみると、歌にある赤い種子を見ることができます(上の写真)。 種子は葉のようなものについていて、これを1枚取り出して写したのが、下の写真です。
陸上の植物は、シダ植物→裸子植物→被子植物 と進化しましたが、このソテツを見ていると、シダ植物と被子植物の途中がよく分かります。
花は生殖のために変化した葉が寄り集まって作られたものだとされています。 これまでに、マメヅタなどのように、通常の光合成をするための葉と生殖のための葉が分化したシダがあることを、あちこちで書いています。 またサンショウモのページでは、シダにも大胞子と小胞子の2種類の胞子を持つものがあることを紹介しました。 大胞子を付ける葉(大胞子葉)がメシベに、小胞子を付ける葉(小胞子葉)がオシベに進化するわけです。
被子植物のメシベを作っている葉的器官(合着して、容易に葉を想像できない)を心皮といいますが、これは1~数枚の大胞子葉が進化したもので、アオギリのページでは、種子形成時にこの心皮が葉らしい姿に戻ることを紹介しています。
上の写真は、種子をつけたソテツの大胞子葉と言っていいでしょう。
では、ソテツの小胞子葉、つまり花粉を作る方の葉は、どうなっているのでしようか? 花粉を飛ばす時期は、当然のことながら、種子が見られるよりも前で、7月頃です。
この頃に、雄株の頂には、上の写真のような、円錐形のものが見られます。これが雄花です。 下の写真は、その一部の拡大です。
葉らしい鱗片(=小胞子葉)に、びっしりと葯(小胞子のう)をつけていて、この中でたくさんの花粉が作られます。 シダの葉の裏に胞子のうをつけている姿と容易に結びつけることができます。
なお、このページの写真にあるような大胞子葉や小胞子葉は、十分成長した株につくものであって、全てのソテツの雌株や雄株につくものではありません。
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