2025-03-27

ホソウリゴケ

 場所からも雰囲気からもホソウリゴケ Brachymenium exile だと思った写真のコケ、これまで蒴は観察したことが無く、古い蒴がついていたので持ち帰って調べました。 育っていたのは街の道路の隅です。


 上の2枚は乾いた状態で、乾くと葉は縮れず、茎に接着します。
 平凡社などでは、ホソウリゴケの茎の長さは5㎜以下となっていますが、上の2枚の写真では1cm前後の高さがあります。 これはホソウリゴケではないのでは? と心配になってコケサロンで聞いたところ、「5㎜以下」というのは緑色をした元気な所の高さだろうということでした。 たしかに上の写真の白い線を引いた所でとても切れやすくなっていて、線以下の所は色も少し異なり、前年の(枯れた?)部分のようです。

 上は葉で、長さは平凡社では 0.6~1㎜となっています。 中肋は葉先から短く突出します。

 葉身細胞は狭菱形~狭六角形、 葉縁の細胞は細長くなっていますが、舷と呼べるほどではありません(上の写真)。

 仮根の表面には、多くの細かいパピラがあります(上の写真)。

 最初の写真でもよく見ると、あちこちの葉腋に無性芽がついているのが写っていますが、いろいろ観察していると、無性芽がポロポロ落ちます。 それを集めて撮ったのが上の写真です。

 最初の写真にも写っていますが、上のような若い胞子体もありました。 時期的に、まだ造卵器も見られるのではないかと思い、探してみたところ、やはりありました。

 造卵器は上の白い円で囲った膨らみの中にありました。

 上は苞葉を取り除いて撮った雌器で、造卵器と側糸が写っています。

 本種は雌雄異株です。 ですから卵細胞と精子が出会いにくく、胞子体があまり作られないのでしょう。 しかし、この群落では胞子体ができています。 雄株も混じっているのではないかと探したところ、造精器もみつけることができました。

 上の茎頂の膨らみが造精器の入っていた所です。

 上のバナナのようなものがが造精器です。 もっとたくさんあったのですが、葉を取り去る過程で外れてしまいました。

(2025.3.8. 滋賀県野洲市 市街地の道路の端)

◎ ホソウリゴケはこちらこちらにも載せています。

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