2019-07-18

モエギコミミゴケ


 マメヅタの葉を覆うように育っていたコケ、クサリゴケ科だろうとは思いましたが・・・


 上は拡大して撮った写真ですが、aの葉は先が尖っていますし、bの葉は円形に近い形をしています。 2種が混じっている可能性も考え、ほぐして調べてみましたが、どうやら同種のようです。


 上は腹面からで、腹葉の形もいろいろのようです。


 腹片の歯牙は1細胞からなっています。 上の写真の腹葉の裂片は、そんなに開いていませんが、150°ほども開いた腹葉もありました。 腹葉の側縁は特に角張っているようにも見えないのですが・・・


 上は葉身細胞です。 細胞表面より少し上にピントが合っている所では、ベルカ(微小突起)が小さな黒や白の点として写っています。

 以上の観察結果を基に平凡社の図鑑で名前を調べようとしたのですが、なかなかぴったりあてはまる種に出会えません。
 クサリゴケ科の種類はたいへん多く、平凡社の図鑑でも、検索表のみで種別の解説の無いものがたくさんあり、ここでギブアップ。 M氏に同定を依頼しました。
 M氏もだいぶ悩まれたようですが、たぶんモエギコミミゴケ Lejeunea pallide-virens ではないかということでした。 最終判断の根拠になったのは、最後の写真にあるベルカの存在です。 クサリゴケ科でベルカが認められる種は限られているようです。
 図鑑には種の特徴がいろいろ書かれていますが、同定のキーになる特徴も、その他の特徴も同列に書かれています。 図鑑というものの性格上、しかたのないことですが・・・。

(2019.7.8. 和歌山県側の岩湧山麓)

◎ モエギコミミゴケはこちらにも載せています。

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