2017-10-03

モエギコミミゴケ


 茎が長く徒長し垂れ下がっている写真のコケ、M氏に同定していただいた結果はモエギコミミゴケ Lejeunea pallide-virens でした。 なお、モエギコミミゴケは平凡社の図鑑では検索表には載せられていますが、種別の記載はありません。
 写真は群落のほんの一部で、岩上に明るい緑色の大きな群落を形成していました。


 上は背面から撮っています。 背片はゆるく重なり、裏に腹片のある部分が膨れて張り出している葉が多く見られます。 なお、このような特徴は本種によく似たカマハコミミゴケ(以下、「カマハ」と記すことにします)などでも見られますが、これらの姿をM氏は「苔類の貴公子」と表現されています。



 上は腹片です。 この仲間の分類では腹片の形態も重要になりますが、膨れている腹片全体にピントの合った写真を撮ることは不可能です。 そこで、7~8枚の写真を深度合成して、腹片はきっちりと写り、その背後にある背片はぼやけるようにしたのが上の写真です。
 腹片は上のような背片の1/2ほどの大きさのものから、とても小さなものまでありました。 なお、カマハなら、この腹片の歯牙のキール側に大きく目立つ細胞があるはずです。


 上の写真には2つの腹葉が写っています。 上の腹葉は縦より横幅の方が広く、下の腹葉は横幅より縦の長さの方が長いようですが、全体としては後者の方が多いようでした。 また、側縁には赤い矢印で示したような角張った所が見られました。
 腹葉の先端は1/2ほどまでU字型に2裂しているものが多いようです。 ちなみに、カマハの腹葉には角張った所は見られず、切れ込みもV字型に近くなるようです。


 上は葉身細胞で、細胞の表面には弱いベルカ(verruca:パピラよりずっと小さい微小突起)があります。 油体は各細胞に10個前後あり、楕円形で微粒の集合です。 なお、カマハの油体はもう少し小さいようです。

(2017.9.23. 大阪府和泉市 槇尾山)

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