はじめに少し地衣類の話を・・・
地衣類は菌類と藻類の共生が高度化し、あたかも単独の生物のように見ることもでき、かつては独立した分類群として扱われたこともありました。
しかし生物として大切な生殖のしくみは菌類によって決められていますし、同一の地衣類で別の藻類が見られる場合もあり、最近では地衣類は菌類の生き方の選択肢の1つとされ、国際植物命名規約でも、地衣類に与えられた学名は、それを構成する菌類に与えられたものとみなす、と定められています。
地衣類として生きている菌類の大部分は子嚢菌です。 これを子嚢菌側から見ると、子嚢菌は菌として菌根を形成したり、地衣化するなど、さまざまな生き方を工夫していると言えるでしょう。 なお、地衣化は多起源で、特定の分類群の子嚢菌に限られたものではないようです。 ちなみに、子嚢菌の約1/4が地衣化しているとのことです。
上の写真の地衣類はセンニンゴケの仲間(コナセンニンゴケ?)でしょう。 菌類の分類はまだ確定されていませんが、ある分類によれば、子嚢菌門チャワンタケ亜門チャシブゴケ綱モジゴケ亜綱センニンゴケ目センニンゴケ科の1種ということになります。 なお、チャシブゴケ綱の多くは地衣化していて、ウメノキゴケやサルオガセなども、この分類群に含まれます。
チャシブゴケ綱の子嚢菌は子嚢盤を形成します。 センニンゴケの子嚢盤はまるでキノコのようですが、そもそもキノコとは比較的大きな子実体をいう俗称であり、子嚢盤も子実体です。
(2021.7.23. 京都府 けいはんな記念公園)
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