写真はオオハリガネゴケ Bryum pseudotriquetrum でしょう。 茎の上部の葉腋には無性芽を、茎の中部以下には仮根をたくさんつけていました。
葉の最も幅が広い所は、ハリガネゴケなどと異なり、中部(以下)です。 葉先は短く尖っています。
中肋が赤い色をしています。 寒くなったからかと思いましたが、平凡社の図鑑では「中肋は(略)古くなると赤くなる。」とありました。
上の写真では中肋は短く突出していますが、葉先に終わる場合もあるようです。 葉縁はほぼ全縁ですが、上の写真のように上部に少し小歯があります。 上の写真の葉身細胞の長さは約 40μmです。
上は背面から舷にピントを合わせています。 舷が反曲しているため葉身細胞にはピントが合っていません。
本種の無性芽と仮根は、肉眼的にはよく似ていますが、顕微鏡で観察すると、上の写真のように明瞭に異なります。 無性芽は矩形の細胞が1列につながっていて、ほぼ真っ直ぐなのに対し、仮根はくねくねと曲がっています。
下は倍率をもう少し上げて仮根にピントを合わせています。
仮根の太さはいろいろで、本種の仮根にはパピラがあるようです。 なお、上の写真では無性芽は右上の奥に写っているだけですが、本種の無性芽はこちらやこちらにも載せています。
それにしても、このように本種はよく無性芽をつけているのに、そのことが平凡社では全く触れられていないのはなぜなんでしょうね。
(2021.11.29. 東京都あきる野市 養沢)
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