2022-08-01

チョウセンスナゴケ

 

 秋田県・鳥海山5合目(標高 1,150m)で育っていた写真のコケ(2022.6.1.撮影)、調べた結果はチョウセンスナゴケ Codriophorus  carinatus のようです。 雨の後で濡れていますが、普段は乾いているであろう岩上で育っていました。

 上は湿った状態です。 上の写真を見ると、年1回茎頂に蒴をつけ、胞子体の基部から2(~3)本の枝を伸ばしているように見えます。 上の写真は3年分の生長が写っているのではないでしょうか。

 上は、たくさんのゴミがついていますが、乾いた状態です。 乾くと葉の上部は中肋に沿って折りたたまれ、枝に密着します。

 葉は狭卵状披針形です(上の写真)。

 葉先付近の葉身細胞は方形~短い矩形で、葉先には痕跡的な透明尖があります(上の写真)。 中肋は葉頂に達していません。

 上は、細胞を斜めから見るために二つ折れになった葉頂部を拡大した写真ですが、大きな低いパビラがたくさん見られます。

 上の2枚は、別の葉(倍率も異なります)で基部を撮った写真です。 翼部は不明瞭で、透明な細胞は葉縁に沿って1列に並んでいるのみです。

 上は葉のほぼ中央の葉身細胞で、幅は4~8μmです。 真上から撮っていますのでパビラは分かりにくいのですが、赤い円で囲った所などは比較的分かり易く、大きなこぶ状のパビラが見られます。

 上は葉の基部から 1/4ほどの所の断面です。 少し厚く切ってしまったので、右の葉縁近くは断面が斜めになって分かりにくくなっていますが、葉身は葉縁まで1細胞層です。 中肋は背面側に突出しています。

 上は葉腋毛です。 (葉腋毛についてはこちらで解説しています)

 上は蒴糸で、不規則に2~3裂しています。 同じシモフリゴケ類のエゾスナゴケの蒴歯のような長さはありませんし、糸状でもありません。

 上は蒴糸の一部の拡大で、細かいパビラに覆われています。

 上は蒴柄の一部です。 蒴柄にパビラはありません。

◎ チョウセンスナゴケはこちらにも載せています。


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