2023-08-13

チュウゴクネジクチゴケ

 湿岩上にあった写真のコケ、配偶体の外観はシモフリゴケ類(スナゴケの仲間)によく似ていて、当初「ヒメスナゴケ?」としていたのですが、チュウゴクネジクチゴケ Didymodon vinealis だったようで、全面的に書きなおしました。 Oさん、ありがとうございます!

 全体的にエゾスナゴケより細く、小さい印象ですが(上の背景は1mm方眼)、全体的に暗い緑色で、蒴柄がとても長いのが印象的です。

 葉は卵状披針形で鋭頭、透明尖は無く、翼部は発達していません。 葉縁は狭く反曲しています。

 中肋は葉先に届いています。 上~中部の細胞は丸みを帯びた方形です。

 上の写真のように葉の中ほどでねじれている所があり、細胞を斜めに見ることができました。 平滑な細胞と、マミラ状の低いパピラが混じっているようです。

 翼細胞はあまり分化していません。 上で外観はシモフリゴケ類に似ていると書きましたが、葉身細胞を見ると、長さが短かく、細胞壁に波状の肥厚も無く、シモフリゴケ類らしくありません。 ただ、細胞は、平凡社では薄壁とあるのですが、写真の細胞は厚壁だと思います。 この点が気になります。

 上は葉のほぼ中央の横断面です。 葉身部は葉縁を含めて1細胞層、中肋は背面も腹面も膨れています。

 帽は僧帽形です(これもシモフリゴケ類との違いです)。 蓋には長い角があります。
 蒴はまだ若く(上の写真)、蒴歯の様子などは観察できませんでした。

(2023.7.14. 神戸市北区道場町)

◎ チュウゴクネジクチゴケはこちらこちらにも載せています。

 

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