昨日は『ミクロの世界のコケ図鑑』(以下、「図鑑」)の図鑑部分に掲載している種と、井上・山口(2024)の「日本産セン類の分類表」(以下、「新分類」)との科名の違いについて書きました。 図鑑は生育環境別に載せているので、科の何がどう変化したのか、分かりにくい面もあったと思います。
図鑑の p234~p237には、他の図鑑にはほとんど見られない「分類順さくいん」をつけてありますので、今回はこれが新分類ではどうなったのかについてまとめました。 私には多くが「なるほど」と思われる変更でした。
図鑑ではページ見出しのあるコケにのみ学名を書いています。 今回は、科が変わった種については、学名を書かなかったコケについても載せています。
なお、新分類では属までしか書かれていませんので、属が変化している場合には、違いが生じる可能性があります。
以下、科ごとに必要な場合は解説を加え、科名が変化する種を[ 図鑑の整理番号、和名、図鑑の掲載ページ ]として載せています。
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ギボウシゴケ科
図鑑で扱っているギボウシゴケ科は、大きくギボウシゴケの仲間、シモフリゴケの仲間(スナゴケの仲間)、チヂレゴケの仲間に分けられますが、そのうちのチヂレゴケの仲間の
165 ハチヂレゴケ p128
166 コバノヒダゴケ p128
167 ナガバチヂレゴケ(イシノウエノヒダゴケ) p129
168 シナチヂレゴケ p129
169 チヂレゴケ p130
170 ヒダゴケ p130
は、新設のチヂレゴケ科になりました。
シッポゴケ科
189 ススキゴケ p77 と
190 ナガスジススキゴケ p77 は新設のススキゴケ科になりました。
カゲロウゴケ科
カゲロウゴケ科は無くなり、
223 カゲロウゴケ p106 はセンボンゴケ科になりました。
ハリガネゴケ科
234 ナシゴケ p38 は、“変なハリガネゴケコケ”でしたが、ヌマチゴケ科になりました。
ちなみに、ヌマチゴケ科はオオツボゴケ科とともに、オオツボゴケ目に分類されています。 ナシゴケの蒴は下向き、オオツボゴケ科(整理番号224~227)の蒴は上向きですが、たしかに蒴の形は似ています。
なお、出版時の校正ミスで、索引から
240 カサゴケ p88 が抜けています。 追加をお願いします。
ヤナギゴケ科
274 カギハイゴケ p230 は、新設のカギハイゴケ科になりました。
ウスグロゴケ科
278 ミヤベゴケ p194 は、新設のミヤベゴケ科になりました。
ムジナゴケ科
ムジナゴケ科は無くなりました。
304 ノコギリゴケ(タイワンノコギリゴケ) p220 と
305 マツムラゴケ p220 は、ハイヒモゴケ科になりました。
コゴメゴケ科
307 キノウエノケゴケ p186 は、ウスグロゴケ科になりました。
ハイゴケ科
いちばん変化の大きかったのがハイゴケ科です。 図鑑のハイゴケのページを見ていただくと、既にハイゴケ科ではなくなっていますが、新分類では、この図鑑に載せているハイゴケ科は無くなりました。
311 アカイチイゴケ p51 と
312 ヒダハイチイゴケ p51 は サナダゴケ科に、
313 ダチョウゴケ p100 と
318 シワラッコゴケ p151(順番を入れ替えています) は キヌゴケ科に、
314 イヌサナダゴケ p149 は コモチイトゴケ科に、
315 キャラハゴケ p150 と
316 アオモリサナダゴケ p151 は 新設のキャラハゴケ科に、
317 ヒラハイゴケ p151 は 新設のチリメンゴケ科に、
319 クサゴケ p187 と
320 フジハイゴケ p187 は 新設のクサゴケ科になりました。
イワダレゴケ科
321 クシノハゴケ p100 と
322 コクシノハゴケ p100 は、ナワゴケ科になりました。
ナワゴケ科
342 カクレゴケ p153 は、スジイタチゴケ科になりました。
ヒラゴケ科
この科も出入りの大きい科です。
353 タチヒラゴケ p156 は、基部の片側が大きく折れ曲がる“変なヒラゴケ”でしたが、ミヤベゴケ科になりました。
356 トラノオゴケ p154 は、新設のトラノオゴケ科になりました。
コクサゴケ科
コクサゴケ科は無くなりました。
357 ヒメコクサゴケ p157 と
358 コクサゴケ p194 は、上記新設のトラノオゴケ科になりました。
キヌイトゴケ科
359 ラセンゴケ p157 は シノブゴケ科 に、
360 オオギボウシゴケモドキ p195 と
361 エゾイトゴケ p195 は、ヒラゴケ科になりました。
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