今回は私が野外で見つけたものの記事ではありません。 説明されているのを横から“取材”させてもらい、写真を撮らせてもらったものです。
草に絡んだ小さな糸くずの塊のようなもの、私も何度か見たような記憶があります。 大きさが分かるように10円硬貨の上に載せて撮りました(上の写真)。 よく見ると、小さな孔があちこち開いています。(写真はクリックで拡大できます。)
上はきれいに開いて奥まで見える孔を拡大したものですが、その周囲にも、糸で隠されたようなたくさんの孔が見えます。
上の写真は1枚目の写真の裏側の一部を拡大したものですが、左下に小さな繭のようなものが見えます。 これを糸くずの塊から分離し、その中にいたものを取り出すと・・・
小さな繭の中からは、うまく脱出できなかったのか既に死んでいましたが、小さなハチが出てきました。 上の写真の左上はこのハチが入っていた繭です。
ハチをもう少し拡大しました。 体長は2.3mmです。 このハチはチョウ目の幼虫に寄生するコマユバチ科サムライコマユバチ亜科の一種だろうということです。
1枚目の写真の長さ1.5cmほどの「糸くずの塊」と、4枚目の写真の小さな繭の関係については、以下のように考えられます。
このハチの幼虫は集団でチョウ目の幼虫の体内に寄生し、十分生長するとチョウ目の幼虫から出て繭を作りますが、寄主のチョウ目の幼虫は糸を吐いて繭の集団を包み(「糸くずの塊」)、ハチの繭を保護した後に命が尽きるようです。 つまりハチの働きかけにより、チョウ目の幼虫の行動がハチの幼虫に都合が良いように変化したことになります。 このような現象は寄主操作と呼ばれています。
こちらのYouTubeには、アオムシコマユバチに寄生されたモンシロチョウの幼虫がハチの繭の集団に糸をかける様子が紹介されています。 この場合は「糸くずの塊」と言えるほどのたくさんの糸はかけられてはいないようですが・・・。
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