2020-04-23
ナガバムシトリゴケ
屋久島で撮ったスギの枯れた枝葉、いろいろなコケがついていますが、赤い楕円で囲った所がナガバムシトリゴケ Colura tenuicornis です。 国内の分布は本州(紀伊半島)~九州、小笠原です。
ちなみに、屋久島のスギの葉はヤクシカの被食圧のため、葉先がとても鋭くなっていました。
ナガバムシトリゴケを拡大しました(上の写真)。 葉は著しく背側に偏向しています。
以下、顕微鏡レベルで詳しく、としたいところですが、標本がありません。 次から次へと写真を撮っているうちに採集し忘れたのか紛失したのか、とにかく、これまでこのブログに載せなかったのはそのためです。
しかしせっかくの絶滅危惧Ⅰ類に指定されている貴重なコケの写真ですので、載せることにしました。 ただ、上の写真だけでは何が何だか分かりませんので、図を報文から借用しました。 下は、林 達紀, 長谷川 二郎:尾鈴山(宮崎県)で発見されたナガバムシトリゴケ(蘚苔類研究7巻11号,1997)の図に私が名称等を書き加えたものです。
腹片は背片より長く、基部を除いて袋状になっています。 和名はこの袋状の部分が補虫嚢を連想させるところからでしょうが、実際に虫を捕らえているのかどうかは疑問です。
腹葉は葉1枚につき1枚あり、基部までV字形に2裂しています。
(2020.3.3. 屋久島)
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