2020-04-29
リュウキュウハリヒノキゴケ
上の写真の細長い葉の蘚類は、リュウキュウハリヒノキゴケ Pyrrhobryum spiniforme var. ryukyuense またはその母種(基本種)のハリヒノキゴケでしょう。 上は屋久島で撮っていますが、屋久島には両者の分布が確認されています。 両者は共に雌雄同株ですが前者は異苞、後者は同苞であり、苞葉の形も違うのですが、上の写真の場合は群落としても若いようで、植物体のサイズも小さく、胞子体をつけていませんでした。 つまり上の写真は、両者のいずれかよく分からないのですが、野口(1989)の葉形の図から、とりあえず前者としておきます。 国内での分布は、琉球列島、伊豆七島と屋久島です。
なお、近畿地方でも見られるヒロハヒノキゴケもハリヒノキゴケの変種です。
ヒノキゴケの場合は茎の中部にまで仮根が見られるのですが、仮根は茎の基部にしか見られません。 葉は茎の下部では小さく、上部では6mmに達しています。
上は葉の一部を拡大した写真で、葉縁の中~上部には鋭歯が並んでいます。 下は同じ場所のピントを少しずらした写真で・・・
葉の中~上部の中肋の背面にも鋭歯が並んでいます。
上は葉を少し傾けて葉縁の歯を観察しています。 歯は対になったものと単独のものが混じっています。
上は葉の断面で、葉縁は2細胞層になっています。 たくさんの裂け目が入ってしまい、堅くもろい葉のようですが、この性質が若い葉にもあてはまるのかは、確認していません。
葉身細胞は厚壁です(上の写真)。
上は茎の横断面で、中心束がよく発達しています。 下は中心束付近の拡大です。
(2020.3.2. 屋久島)
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