カラスウリの葉に描かれたたくさんの円形の食み跡(上の写真)、クロウリハムシのしわざです。
クロウリハムシ Aulacophora nigripennis はカラスウリの葉が好物ですが、その食べ方を見ていると、まずカラスウリの葉に円形の切れ込みを入れ、それから切れ込みの内側を食べ始めます。
上の写真で、右下の個体は、カメラを近づけたために顔を上げてしまいましたが、切れ込みを入れている最中でした。 そして左上の個体は、円形の切れ込みの内側を食べ始めています。
このような切れ込みを入れる行動は「トレンチ行動」と呼ばれています。 英語の trench (トレンチ)は、「溝」や「くぼみ」などの意味です。
クロウリハムシはなぜこのような行動を取るのでしょうか。 カラスウリの生長の盛んな時期の葉は、傷をつけられると被食を防ぐ乳白色の液体を出します。
この液体は、網の目状に張り巡らされている葉脈(維管束)を通って運ばれてきます。 トレンチ行動は、この維管束を切断しておき、食べている所から液体が出てこないようにしているのでしょう。
秋になり、カラスウリの活性も低下し、葉を傷つけられてもあまり液体は出てきていないようです。 クロウリハムシの立場から言えば、被食忌避物質の少なくなった時期が、カラスウリの葉の食べ頃かもしれません。
トレンチ行動を行うかわりに、別個体が作ったトレンチや摂食跡を利用することも有意義な行動になるでしょう。 このことが、たくさんカラスウリの葉があってもクロウリハムシが特定の葉に集中する理由の一つではないでしょうか。
※ 上は 2013.9.26.に撮影し、Part1の 2013.10.6.に載せていた記事をこちらに引っ越しさせたものです。
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