2021-10-11

チャツボミゴケ

 

 上は、腹面から撮っていますが、チャツボミゴケ Solenostoma vulcanicola でしょう。 葉は円頭で、幅が長さと同じか、より広くなっています。
 仮根は束にならず、茎に沿って流下していません。

 上は葉身細胞で、トリゴンはありません。 葉縁の細胞はほかの細胞とほぼ同じです。
 平凡社の図鑑では、葉身細胞の油体には眼点があるとなっています。 しかしこの近くで前に見た時も油体の眼点は確認できませんでした(こちら)。 水中で暮らす苔類の油体は、水から出すと、どんどん壊れていくようです。 今回の採集地は長野県の渋川で、顕微鏡での観察は大阪に戻って落ち着いてからで、その間5日ほど経過しています。 眼点のある油体が確認できなかったのは、たぶんそのせいだと思います。

 上が育っていた場所です。 この近くには下のような記念碑があります。

 碑文には次のように書かれています。

         井上浩
   チャツボミゴケ
    Jungermannia vulcanicola
   右同定します
    昭和六十年十月十五日

 そして、由来所には次のように書かれています。

  此の苔は国立科学博物館植物研究部長
井上浩先生に調査を依頼し、現地調査の
結果、氷河時代より植生し強酸性水を好み
河川浄化に役立つ貴重なるチャツボミゴケで
あると同定されました。
 長野県、地元茅野市をはじめ七ヶ耕地財産区
外山財産区、自然保護団体、奥蓼科観光協会長
故北沢栄一殿、渋川温泉保科館等の協力に
より保存することが出来ました。
奥蓼科観光協会は、自然を守りつゝ開発を
進める地元住民の自然保護に謝し、此の
記念碑を建立したものであります。
 昭和六十二年十一月吉日
         奥蓼科観光協会


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