2022-11-27

コバノスナゴケ

 平凡社の図鑑では、シモフリゴケ、エゾスナゴケ、コバノスナゴケ、ナガエノスナゴケなどは全て Racomitrium(シモフリゴケ属)となっていますが、これら日本産旧シモフリゴケ属は5つの属に整理されています(蘚苔類研究12巻3号)。 上記のコケについても、シモフリゴケ以外は Racomitrium ではなくなりました(こちら)。
 私の頭の中も現在混乱中で、これまで分かったつもりになっている種についても見直しが必要で、それぞれの属の特徴を理解する必要性を感じています。
 ということで、今回はコバノスナゴケ Niphotrichum barbuloides と思っているコケ(2022.8.25.撮影)です。 なお、下の文中の太字の部分は、Niphotrichum属の特徴とされているものです。

 上がそのコケです。 札幌市の定山渓の岩上に育っていました。

 茎は長く伸び、たくさんの短い枝を出していますが、赤い矢印のように長く伸びた枝(新しい茎)もあります。

 湿った状態では、ほとんどの葉は上のように反り返っています。 葉の中央部の縁は反曲しています。


 上の2枚は別の葉の葉頂の様子です(倍率は異なります)。 透明尖には歯があり、しばしば少数のパピラがありますが、長さは葉によって異なり、時には見られないこともあります。 透明尖の基部は葉縁に沿って下延しています。
 中肋は葉頂近くに達しています。 葉の上部はキール状ですが、どうにか開いて撮ることができました。

 翼細胞は発達していて、透明~淡黄色で薄壁の大きな細胞からなっています。 翼部の境はそれほど明瞭ではありません。 葉の基部の細胞は黄色みを帯びています。

 上は葉の中央部の葉身細胞で、細胞腔上に複数のパピラが見られます。

 上は葉の下部の細胞で、細胞腔は狭くて厚壁です。 葉の基部に近づくにつれ、パピラは少なくなり、基部付近ではほとんど無くなります。

 上は葉の基部から1/3ほどの所の断面です。 パピラは背腹両面に同じように見られます。 中肋は背面側に突出しています。

◎ これまでに本種と思っていたコケをこちらこちらに載せています。 見直してみて、たぶん間違いではないと思いますが・・・。

 

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