2023-03-27

オオタニワタリ

 屋久島で見たオオタニワタリ Asplenium antiquum です(2023.3.11.撮影)。 日本南部の暖地から台湾にかけて分布する常緑のシダ植物で、植物園の温室などではお馴染みですが、園芸目的などの採集圧で、自生している姿を見る機会は少なくなりました。
 葉は放射状に出て、新しい葉は斜め上に伸びるので、全体としてはロート形になり、落ち葉などが株の中心部にたまります。 茎の側面から出たたくさんの根がこの落ち葉を保持し、落ち葉は次第に、腐葉土化し、肥料となっていきます。

 タニワタリの仲間には何種類かありますが、本種の胞子のう群は主軸から葉縁近くまで伸びた細い直線状で、多くの場合、この胞子のう群が1つおきの葉脈ごとに(=隙間を作って)たくさん並びます(上の写真)。

 熱帯や亜熱帯では樹木の幹や枝に着生している場合が多いのですが、それより冷涼な所では岩上や地上で生育するものが多くなるようです。 和名はそのたくさん生育している様子を「シダが谷を渡っている」ととらえたところからのようです。

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