2025-07-22

ハチの系統とルリチュウレンジ

 ハチと聞くと刺されると怖がる人が多いのですが、そのような怖いハチは、ほんの一部のハチです。 

 上は現在大阪市立自然史博物館で開催中の特別展「昆虫MANIAC」で掲示されていたハチの系統図です。 スズメバチやアシナガバチはスズメバチ(スズメバチ科)にまとめられています。
 上の系統図をさらにまとめて大きく見ると、幼虫の餌は、植物の葉や材 → 動きの乏しい虫など(卵や幼虫)への寄生 → 動きのある虫などへの寄生や捕食 → 植物の花粉 というように変化しています。 スズメバチやアシナガバチは動きのある虫などを捕食できるように、また社会生活をするために巣などを守る必要から、産卵管が変化した強力な毒針を持ち攻撃的な側面もありますが、繰り返しますがそんなハチはごく一部です。
 多くのハチは何も恐れることは無いのですが、その1例として、ここでは系統上初期に現れた、ある意味ハチの“原型”であるハバチを、ルリチュウレンジを例に取り上げます。 なお、ルリチュウレンジについては、Part1の2012年8月23日の記事の引っ越しを兼ねています。
 「ハバチ」は「葉蜂」で、幼虫は葉を食べて育ちます。 卵は産卵管を葉に差し込んで産み付けられますので、もちろん産卵管が変化した毒針はありません。
 産卵の様子は【こちら】に載せています。

 上がルリチュウレンジの幼虫です(2010年6月27日撮影)。 ルリチュウレンジの幼虫はツツジ類の葉を食べて育ちます。 葉をもりもり食べて育つという生活が同じところからチョウやガの幼虫と似ていますが、違い(見分けるポイント)は【こちら】に載せています。

 そして上が成虫です(2012年8月16日撮影)。 ハチといえば腰のくびれを連想しがちですが、これは腹部を自由に動かして虫の急所に正確に針を差し込むための形態で、そのような行動をしないハバチなどでは、腰のくびれは見られません。(進化的には腰のくびれができたから、虫の急所に正確に針を差し込めるようになった。)
 なお、本種の本来の色は黒っぽいのですが、上の写真は、金属光沢を伴った瑠璃色を強調するため、ハイキーぎみに撮っています。

 ルリチュウレンジはミフシハバチ科に分類されています。 「ミフシ」というのは、この仲間の触角が3節からできていることによります。 写真で分かるように第3節が第1・2節に比べてとても長くなっているのが特徴です。

 ルリチュウレンジは年に3~4回発生し、成虫は4月~10月頃に見られます。 上に書いたように、幼虫はツツジ類の害虫で、地面に降りて土の中でサナギになります。 越冬は、サナギの状態で過ごします。

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