2018-04-19

ホウライスギゴケ



 写真はホウライスギゴケ Pogonatum cirratum でしょう。 谷の北向き斜面にありました。 前に載せたものは立っていましたが、今回のものは上の写真のように斜面を這っています。 光が弱いとこうなるのでしょうか?


 大きさが分かるように10円硬貨を置いて写してみました。


 乾くと上の写真のように弱く巻縮します。


 葉の長さは、上の葉では7mmほどです。 平凡社の図鑑では5~10cmとなっていますが、cmはもちろんmmの誤りでしょう。


 葉縁には鋸歯がありますが・・・


 葉の鞘部(茎にくっついている部分で、薄板もありません)は全縁です。 本種によく似たコセイタカスギゴケの鞘部には歯があり(こちら)、見分けるポイントとなります。





 この場所で見られたホウライスギゴケの葉の厚さは、光が弱い環境なのか、特に薄いようです。 薄板は2~3細胞の高さで、端細胞の上面は、少し低いパピラらしいものも見られますが、ほぼ平滑です。

(2018.4.11. 京都市 西芳寺川)

2018-04-18

ヤママユの繭から出てきたアメバチの一種





 堺自然ふれあいの森でヤママユの繭をガラスケースに入れて羽化を待っていたところ、出てきたのは寄生していたアメバチの一種でした。
 下はアメバチが出た後のヤママユの繭です。




2018-04-17

4月中旬のアズマゼニゴケ


 上は4月11日に京都市の西芳寺川で撮ったアズマゼニゴケ Wiesnerella denudata です。 白い小さな点は気室孔です。(気室孔の断面はこちらに載せています。)

 アズマゼニゴケについては、10月中旬の造卵器や造精器が確認できる時期の様子や、5月中旬の雌器托が伸びて胞子が確認できる時期の様子をこちらに載せています。
 雌器托は胞子が成熟してから柄が伸び出して胞子を散布しますから、上記の経過からすれば、4月中旬は胞子がまもなく成熟する時期のはずで、雌器托はまだほとんど伸びていません。
 そのような時期の雌器托の断面を作ってみました(下の写真)。


 胞子が作られている所はまだ緑色ですが、雌器托に守られ、胞子体は大きく生長しています。
 雌器托の柄には、葉状体の腹面から連なる仮根の束が2本見られます。 上の写真では、この仮根束は途中で途切れているように見えますが、これは切断面が少し斜めになったためで、上まで伸びていて、胞子体の周囲に見られる仮根とつながっています。 この雌器托柄の中の仮根束は、ゼニゴケジャゴケの所に書いたように、精細胞が運ばれる通路になるのでしょう。


 上は胞子体の顕微鏡写真で、中にはたくさんの胞子が詰まっています。


 上は胞子体の切断面からこぼれ落ちた胞子と、胞子の下には弾糸が写っています。 胞子は未成熟ですが、減数分裂で4個に分かれたことを示す溝が見えます。

◎ 上記の状態から進んで、胞子を散布している5月上旬の様子や成熟した胞子などをこちらに載せています。


2018-04-16

ネコノメソウ


 「〇〇ネコノメ(ソウ)」という名の植物は日本に十数種類ありますが、写真はネコノメソウ属のネコノメソウ Chrysosplenium grayanum です。 花の近くの葉が黄色っぽくなっています。 渓流のすぐ脇に咲いていました。


 花は花弁が無く、淡黄緑色のガク片が4枚あります。 ネコノメソウ属の多くはオシベが8本ですが、本種のオシベは4本です。

(2018.4.11. 京都市 西芳寺川)

2018-04-15

ヒョウタンゴケの胞子体


 上は3月28日に撮ったヒョウタンゴケ Funaria hygrometrica ですが、いつもながら配偶体に似合わない大きな胞子体をつけています。
 コケ植物をひとくくりにして言ってしまえば、胞子体は配偶体から栄養分の補給を受けて生長すると言うべきでしょうが、胞子体も葉緑体を持っていれば自らの光合成産物も使用しているはずです。 胞子体が胞子形成などを行う場合、胞子体自らの光合成産物も配偶体から送られてくる物質も使うのでしょうが、どちらが多いのかは種によって異なるということなのだと思います。 ヒョウタンゴケなどの胞子体の場合は、小さな配偶体にはあまり頼らず、自らの光合成産物を利用する割合が、ずっと高いのにちがいありません。 そのような目でヒョウタンゴケの胞子体を見てみると・・・


 たくさん光合成を行おうとすれば、二酸化炭素もたくさん取り込まなければなりません。 蘚類の気孔は蒴の頸部にあります。 上の写真の白い斑点は、きっと気孔でしょう。 こんなにたくさんの気孔が目立つ蒴は、あまり見たことがありません。


 上は頸部の蒴壁を表面から見た顕微鏡写真です。 白い斑点はやはり気孔でした。 黒く見えている所は、気孔の部分が周囲より少し低くなっていて、その細胞の境目に空気が入り込んだためです。


 上は気孔の断面です。 気孔の近くには葉緑体を持った(=光合成を行う)細胞があります。

 光合成を盛んに行いながら同じ場所で胞子形成を行うと考えるのは無理があるでしょう。 蒴の縦断面を作成し、そのつくりを見たのが下です。


 胞子は胞原組織で胞子母細胞が減数分裂して作られるのですが、その周囲には気室があり、胞子が作られる場所は、蒴の中で独立しています。 上の写真のように軸柱が水分をたっぷり含んだ太い状態では、胞子が完成するのはまだまだ先のようです。


 この時期は蓋と蒴歯はぴったりくっつきあっていて、上は蓋をとおして見た蒴歯です。 こちらでは蓋の取れた状態の蒴歯などを載せています。

◎ 今回触れなかったヒョウタンゴケの葉の様子などはこちらに載せています。