写真はトジクチゴケ Weissia exerta でしょう。 ジンガサゴケに囲まれ、小さな群落が育っていました。
上の写真の葉の長さは1~2mmあります。 群落から1本抜き取る時に古い茎が2mmほど千切れてしいまいました。
上は手前の葉を取り除いて蒴を撮っています。 蒴柄は短く、帽には長い嘴があります。 また、上の写真をいくらよく見ても、蒴の壺と蓋の境目が分かりません。 このような蒴は閉鎖果と呼ばれていて、蓋は分化しておらず、成熟すると蒴が崩れて胞子がばらまかれます。
上の写真はかなり乾いてきている状態で、葉は強く捲縮しています。
上は、葉よりかなり長い雌苞葉です。 狭披針形で、中肋は短く突出し、上部3/4ほどの葉縁は狭く反曲しています。 下部の細胞は大きく、矩形で透明です。
雌苞葉の上部の細胞は丸みを帯びた方形で、パピラがあります。
上は胞子です。
トジクチゴケは平凡社の図鑑でも検索表にしか記載されていません。 このコケを見つけた時には、よく知られているツチノウエノタマゴケ Weissia crispa と思い込み、当初はこの記事のタイトルもそのようにしていましたが、野口図鑑などで再検討した結果、変更します。
両者の違いは次のようになります。
ツチノウエノタマゴケ | トジクチゴケ | |
蒴柄の長さ | 0.4mm以下 | 0.5~1.2mm |
蒴の形 | 球形 | 卵形~楕円形 |
蒴の位置 | 雌苞葉に深く沈生 | 雌苞葉から出る |
中肋の突出部 | 葉縁から滑らかに続く | 葉縁との境に小さな段 |
(2019.2.11. 堺自然ふれあいの森)
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