写真はケシゲリゴケ Nipponolejeunea pilifera です。 樹幹の小さなこぶについていました。
よく見ると、あちこちの葉先に長毛があります。
長毛は背片の葉先にあるだけではなく、腹片の歯も長毛状になっている場合がしばしば見られます 腹葉は茎径の4~6倍幅です。
上は葉(背片と腹片)です。 Nipponolejeunea(ケシゲリゴケ属)は、平凡社ではクサリゴケ科に分類されていますが、現在ではヒメウルシゴケ科にされています。たしかに全体の姿はクサリゴケ科に似ているのですが、ヒメウルシゴケ科らしい形態として、蒴の形質と共に、葉の茎への付着線が短いことが挙げられます。 上の写真に茎への付着線の両端を赤い線で示しておきました。
腹片は切頭で2歯があります(上の写真)。 歯はいつでも長毛状であるわけではありません。
上は背片の葉身細胞です。 平凡社では、本種の葉身細胞は薄壁でトリゴンが大きいとなっていますが、上の写真ではそのようにはなっていません。 だからといって、ケシゲリゴケ以外の種は考えられません。 似た種に同属のタカネシゲリゴケがあるのですが、これは分布が亜高山帯以上ですし、次に書く腹葉の形も違います。 生育環境などによって、本種の細胞にはこれくらいの変異があると理解すべきだと思います。
腹葉は広卵形で、1/5~1/4まで狭く2裂しています(上の写真)。
(2023.5.13. 愛知県設楽町 標高1200m付近)
◎ こちらには蒴をつけた本種を載せています。
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