2017-06-30

ケシゲリゴケ


 上は樹幹の高さ 1.5mほどの所についていたケシゲリゴケ Nipponolejeunea pilifera です。 たくさんの蒴がついていました。 花被には3稜があります。 右下にはクモの巣に引っかかった胞子も小さな点として見えています。
 ケシゲリゴケの特徴は背片に数本の長毛があることですが、上の写真では長毛はほとんど見えていません。 長毛は全ての背片についているわけでもありませんし、乾き気味で背片が腹側に巻いている場合は、長毛は腹側に隠されてしまいます。


 上は腹側から撮ったもので、17枚の写真を深度合成しています。 上の写真の場合では、背片の長毛は枝先の葉に多く見られるようです。 腹片は背片にくっついて少し見難くなっていますが、背片の約1/2長で、切頭で2歯があります。
 腹葉は広卵形で大きく、1/5~1/4ほど切れ込んでいるのですが、裂片が互いに重なり、隙間が見えない場合がほとんどでした。 仮根は腹葉の付け根付近から出ています。


 上は腹片です。 反射光による深度合成(2枚目の写真)では分かりにくかったので、透過光で撮ってみました。


 上は葉身細胞です。 油体は小粒の集合で各細胞に2~5個あるはずですが、採集から観察までの時間が長すぎたのか、上の写真でははっきりしません。 葉身細胞の様子はこちらをご覧ください。


 前にタカネシゲリゴケを載せました(こちら)。 ケシゲリゴケとタカネシゲリゴケは同属で、特に背面からの写真を見るとそっくりです。 しかし大きさを比較するとかなり違っていて、ケシゲリゴケの茎の幅は葉を含めて1mm以上あります。 また腹葉の形態も異なります。

(2017.6.14-15. 北八ヶ岳)

◎ ケシゲリゴケはこちらにも載せています。


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