なお、下の写真を含め、ここに載せたミゾゴイの写真は、全て昨年新梅田シティで私が撮ったものです。 またその時の様子は、こちらにも載せています。
川名国男氏の基調講演は、近年まで夜行性と言われていたミゾゴイが昼行性であることや、営巣場所の特徴など、ミゾゴイの生態と習性についてでした。
ミゾゴイが昼行性である根拠として示されたのは、① 繁殖期の行動の観察から、ヒナに餌を運ぶのは昼間に限られ、夜間はヒナと共に巣にいること、② ミミズなどを採餌する場合、土のわずかな動きを捉えているのか、地面に顔を近づけてじっと見つめる(下の写真)など、視覚に頼っている(夜の暗闇では不可)と思われる行動をとることなどです。
地面に顔を近づけ、じっと見つめるミゾゴイ |
正面から見た眼の位置も、距離を測る両眼視に適している |
なお、近年まで夜行性と思われていたのは、個体数が少なく昼間も薄暗い林に棲んで発見されにくく、生態的な観察がほとんどされなかったことに加え、繁殖期前の縄張り確保とメスを呼ぶ鳴き声は夜間によく聞こえるためだろうとのことでした。 また、新梅田シティの場合は、良好な中継地の無い渡りの途中に、たまたま餌の豊富な場所に降り立ち、餌採りに夢中になっているうちに人に慣れてしまったのではないか、ということでした。
続いて納家仁氏から、新梅田シティのミゾゴイの密着観察の報告がなされました。 採餌回数は1日にほぼ100回で、餌の主なものはミミズであったなど、これまでほとんど知られてなかった渡りの時期のミゾゴイの生態についての調査結果が報告されました。
休憩を挟んでのパネルディスカッション「ミゾゴイを守るために」では、新梅田シティ庭園の設計及び運営のコンセプト(ミゾゴイの餌があり続けた小さな自然)や、岬町の鳥獣保護区の拡大、ミゾゴイの存在を知る方法などについて、ディスカッションが行われました。
長い距離を移動する渡り鳥の営巣地、中継地、越冬地の環境について考えることは、広範囲における生物多様性、地球規模での豊かさを守ることにつながると、改めて考えさせられました。