上は秋田県の標高 1.200mほどの池塘にあったミズゴケで、蒴をつけていました。 下部は水に浸かっています。(撮影:2021.7.9.)
繊細で柔らかい小型のミズゴケです。(スケールの数字の単位はcmです。)
上の写真の上方の短い2本は下垂枝、長い1本は開出枝ですが、はっきりとした違いは無さそうです。(開出枝と下垂枝についてはこちらをご覧ください。)
上は枝葉とその先端部です。 先端には少数の歯があります。 縁は腹面側に巻いているため、色が濃く写っています。
上は枝葉の横断面とその一部の拡大です。 葉緑細胞はほぼ三角形で、底辺は葉の背面側にあります。
上は葉を取り去った開出枝です。 大きなレトルト細胞がたくさんあり、その首は突出しています。
上は茎葉です。 舷は、はっきりしませんが、下部で広がっています。
上は茎葉の先端部です。 右側の葉縁は腹側に巻いていて見えていません。 先端には数個の歯があり、葉縁にある狭い舷は葉先近くまであります。
透明細胞には糸状の肥厚があります(赤い矢印)。
上は茎の表皮で、左下に茎葉が少し写っています。 表皮の細胞は長方形で、孔は見られません。
上の2枚は茎の横断面とその一部の拡大です。 表皮細胞は2層になっています。
以上の観察結果から、枝葉の透明細胞の孔が少なく、横断面で葉緑細胞が背面に広く開いていることからハリミズゴケ節でしょうし、レトルト細胞の首が長いことからワタミズゴケ Sphagnum tenellum でしょう。 ハリミズゴケ節の中ではレトルト細胞の首が長いのは本種だけです。 多雪地帯のミズゴケのようです。
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