2022-12-10

ナンヨウサンカクゴケ


 滋賀県栗東市にある金勝寺(こんしょうじ)、その境内の樹幹で多くの地衣類に混じって育っていた写真のコケ(2022.12.9.撮影)は・・・

 上の写真の多くは丸い葉のオオシタバケビラゴケでしたが、少しずついろいろなコケが混生しています。 そのうちの一種に、細い小さなコケが写っています。 上の黄色い四角はこのコケが比較的多い所で、下はその枠内の拡大です。

 細長く鎌状に曲がった葉のコケが見えます。 以下の観察結果から、このコケはナンヨウサンカクゴケ Drepanolejeunea ternatensis だと思います。 和名に「ナンヨウ」とありますが、平凡社によると分布は宮城県以南となっています。 なお、以下の太字の部分は、よく似たヒメサンカクゴケとの違いを示しています。

 上は背面から撮っています。 上の写真の場合は、撮る角度の関係で、葉の鎌状の曲がりは、ほとんど分からなくなっています。 背片は披針形で、写真のような大きな鋸歯のある背片も多く見られました。 腹片は背片の約1/2の長さで、卵形です。

 上は腹面から腹葉にピントを合わせています。 腹葉は1/2まで広U字形に2裂し、裂片は1細胞幅です。

 上も腹面から撮っていますが、腹葉は、ピントが合っていないため、ほとんど分かりません。 上の写真では背片が著しく鎌状に曲がっているのがよく分かります。 葉のキールの背面表面はパピラ状になっています。

 上は葉身細胞です。 油体はほとんどありません

 葉の基部には1~2個の眼点細胞があります。

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