晩秋にはホソバミズゼニゴケは葉状体の先が細かく分かれて無性芽となりますが、エゾミズゼニゴケはそのような無性芽を作らず、違いは明瞭になりますが、その他の時期は、両者はよく似ています。 エゾミズゼニゴケはホソバミズゼニゴケより少し黄色みが強い意向があるのですが、時期や生育環境にもより変化しますので、外見で区別するのは難しい場合が多いようです。 分布は、近畿地方の低地ではエゾミズゴケは日本海側に見られ、太平洋側では稀です。
上は 2024.5.22.に京都府南丹市美山町で撮った写真ですが、調べた結果はエゾミズゼニゴケ Pellia neesiana でした。
本種は雌雄異株で、上の写真は雄株です。 小さなポツポツは造精器ができる所でしょう。
上は葉状体内部の細胞の様子です。 一部に細胞壁が厚くなった細胞の集団があります。 ホソバミズゼニゴケにはこのような肥厚帯は見られません。
上は葉状体の横断面です。 背面の左側にある2つの大きな膨らみは造精器が作られる所で、背面の中央やや右に2つある小さな膨らみは粘液毛です。 肥厚帯はなんとなく分かりますが、気泡が多く入ってしまい、はっきりしません。
上は造精器が作られる腔所周辺の拡大です。 腔所の出口周辺に大きな柔らかそうな細胞が輪状に並んでいます。
気になってM氏に資料を送っていただいたところ、Pattonや児玉の本種の図にも、これより少し小さい細胞ですが、同様の図があります。造精器をつくる初期に大きく、次第に小さくなっていくのか、ホソバミズゼニゴケではどうなのか、気になるところです。
◎ 雌株については、こちらに未熟な胞子体をつけたものを、こちらに成熟した胞子体をつけたものを載せています。
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