オオウロコゴケなどの苔類の隙間からたくさんの蘚類の胞子体がを突き出ています。 蒴は少し傾き、長い蒴柄があります。 胞子体は古いものが目立ちますが、よく見ると新しい胞子体がたくさん伸びてきています。 蘚類の配偶体はわずかしか見えていませんが、オオウロコゴケと比較して分かるように、小さなコケです。
上は最初の写真に接した所で、胞子体は少ないのですが、配偶体の様子はよく分かります。 持ち帰って調べた結果、このコケはヒメカガミゴケ Brotherella complanata だろうと思います。
茎の幅は葉を含めて1㎜以下で、不規則な羽状に分枝しています(上の2枚の写真)。
上は茎葉(のはず)です。 野口の図や平凡社の記載に比較すると、少し幅が広すぎるようなのですが、Brotherella(カガミゴケ属)は変異が大きいようです。
翼部には黄褐色の細胞が並んでいます(上の3枚の写真)。
葉の上部には目立たない歯がまばらにありました(上の写真)。
上は葉身細胞です。 平凡社では葉身細胞の長さは 65~85μmとなっていますが、それより長く、90~120μmでした。
蒴の長さは約 2.5㎜、蒴柄の長さは1cmを超えています。
上は蒴歯を蒴の内側から見ています。 蒴歯は外蒴歯と内蒴歯の2列で、内蒴歯には1本の短い間毛があります。
上は蒴壁を蒴の内側から見ていて、右が蒴口の方向、左が頸部の方向です。 平凡社には本属の特徴の1つとして、蒴壁の細胞は縦方向の壁だけが厚いと書かれています。 縦方向と横方向の壁の厚さの違いはよく分かりませんが、縦方向の壁が、特に上の写真よりも低倍率では、よく目立っていました。 なお、蒴壁を外側から見た場合も同様でした。
(2025.9.29. 福岡県 野河内渓谷)
◎ ヒメカガミゴケはこちらにも載せています。













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