タイトルと無関係のようなことから書きはじめます。
大阪府高槻市に「JT生命誌研究館」という施設があり、季刊で「生命誌」を発行しています。 その最新号(105号)に河原章人氏の「昼と夜を分けた鱗翅目昆虫の進化」が載せられています。(鱗翅目とはチョウやガの仲間のことです。) 書かれてあるのは、チョウは鱗翅目の中で1つの祖先から派生した系統として、DNAのうえでは他の全ての蛾から区別されるまとまったグループであることや、コウモリから逃れるための蛾の進化など、私にとってとても興味ある内容にあふれているのですが、次のような文もありました。 そのまま引用します。
鱗翅目の共通祖先が出現した時期はおよそ3億年前。誕生したばかりの被子植物が広がり始める前の時代であり、祖先は被子植物ではなくコケを食べていた可能性が高い。幼虫は葉潜り虫、つまり植物に潜り込んで内部の組織を食べるごく小さな芋虫だったようだ。(以下、略)
上はアナシッポゴケモドキの葉の断面です。 蘚苔類では、このように1層の細胞からなる葉が多く見られます。 その理由として、従来は、蘚苔類には維管束が無く、水や養分は体の表面から取り込むので、外界に触れる面積を大きくしているとされてきました。 1層の細胞からなる葉が進化してきた理由として、これもたしかに成立すると思います。 しかし、1層の細胞になって葉に潜られることが無くなったことも、蘚苔類が栄える事ができた理由の1つなのかもしれません。
このブログでは前にも、コケは食害を防ぐために自ら小さく単純化する進化の道筋を歩んだ植物である可能性があることを書いています(こちら)。 また、葉潜り虫(はもぐりむし)の例として、いわゆる絵描き虫をこちらに、カシワノミゾウムシをこちらに載せています。
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