上はコスギゴケ
Pogonatum inflexum です。 コスギゴケの蒴についてもこれまでに何度か書いていますが(
こちらや
こちら)、もう少し異なった面から、特に蒴歯について観察してみました。
上は帽も蓋もなくなった蒴です。 蒴柄がねじれているのは、乾いてしまったからです。
スギゴケ科の蒴口は口膜で覆われていて、胞子は蒴歯の隙間から出ることは前に書いています。 下はこの蒴の断面です。
緑色をした胞子がぎっしり詰まっています。 この胞子に隠され、蒴の中央にある中軸は全体が見えません。
中軸を少し引き出してみました(上の写真)。 口膜はこの中軸の頂部が広がったものです。
この中軸を取り去り、胞子も洗い出して光が通るようにして蒴歯の部分を顕微鏡で撮影したのが下の写真です。
上の写真は口膜がついていますので、口膜も取り去って撮ったのが下の写真です。
多くの蘚類では、向かい合う細胞の細胞壁だけが残って蒴歯が形成されていますが、スギゴケの仲間では多数の細胞全体で蒴歯を構成しています。 ですから、多くの蘚類の蒴歯は関節があるように見えるのに対し、スギゴケの仲間では関節らしいものは見あたりません。
上は蒴壁の細胞で、細胞の上部に1個の大きなパピラがあります。
(材料としたコスギゴケは、2020.2.23.に奈良県の白毫寺町で採集したものです。)
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