岩を覆う写真のコケ、2021.5.23.に奈良県宇陀市の標高400m付近での撮影ですが・・・
茎の途中から上方に新枝を出し、階段状に生長を続けているようで、イワダレゴケ科だろうと思いました。
葉の大きさにはかなりの違いがあります。 茎葉は茎にほぼ直角につき、上部は大きく反り返り、長さは3~4mmあります。 時を経た茎は次第に赤褐色になるようです。 なお、茎に毛葉は確認できませんでした。
上は茎葉です。 上部が大きく反り返っているので、このような写真しか撮れませんでした。 葉の途中から急に細くなり、そこから先は長く漸尖しています。 基部は丸く茎を抱いているため、カバーグラスで押さえると、割れ目が入ってしまいました。 葉縁上部には細かい歯があるのですが、上の倍率でははっきりしません。
中肋は、上の写真ではぼんやりとしか分かりませんが、二叉し、葉長の1/4ほどの長さです。
上はゴミの少ない別の茎葉で撮った翼部で、褐色の区画をつくっています。
上は茎葉に近い枝葉で、中肋は葉長の1/2ほどの長さがあります。
上は枝葉です。 葉縁上部には細かい歯があります。
葉身細胞の長さは 30~60μmでした(上の写真)。
以上の観察結果から、フサゴケ Rhytidiadelphus squarrosus だろうと思うのですが、場所が気になります。 平凡社の図鑑では国内の分布は北海道~四国となっているように北方系のコケで、日本では主に亜高山帯の林縁部の腐植土上に生育するようです。 このブログで前に載せたのも、北八ヶ岳で観察したものでした(こちら)。 本種に近いコフサゴケではないかとも考えましたが、こちらも高地に育つコケです。
以上の理由で、タイトルには「?」をつけておきました。
なお、ウィキペディア(Wikipedia)によると(こちら)、フサゴケは世界的にはユーラシア大陸や北アメリカに広く分布するコケで、さまざまな土壌条件に耐性を持っており、石灰性草原から酸性土壌であるヒースまで、広い範囲に生育することができ、とりわけ放牧草地やゴルフ場のフェアウェイなどで旺盛に生育しているようです。 また、タスマニアやニュージーランドでは侵略的外来種として扱われているようです。
ウィキペディアに単独で載せられているコケはそんなに多くなく、世界的にはかなり普通に見られるコケのようです。
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