マルバハネゴケ Plagiochila ovalifolia は変異の大きいコケです。 これまで3回載せていますが(150704 180426 190221)、これらはいずれも岩から垂れ下がり、分枝もほどんどありませんでした。
今回はこれまでとは少し異なった印象だった2つの場合を紹介します。
【 2021.5.23.に奈良県宇陀市で見たマルバハネゴケ 】
林下の小さな渓流沿いの岩上に育っていました。
雄苞葉が赤く染まっている雄花序もあり、なかには枝先が伸び続け普通葉をつけているものもありました(上の写真)。
多くはありませんが、あちこちで分枝しています。 ハネゴケ科の分類では分枝のしかたも同定のポイントの1つになりますので、調べてみました。
上の写真の枝は、茎の髄由来で、茎の表皮を突き破って出てくるため、破られた表皮が枝の襟のようになって見えます(ハネゴケ型分枝)。
上の分枝では襟が見られません。 平凡社の図鑑のハネゴケ属の検索表ではヤスデゴケ型の分枝の有無がEの分岐になります。 ヤスデゴケ型分枝は腹片になる細胞が枝に変化したものですが、それでもなさそうです。
葉の大きさも様々ですが、葉の形も卵形から円形に近いものまであります。
上の葉は、長さと幅がほぼ同じです。
葉身細胞は、トリゴンが小さく、表面は平滑です。
【2021.4.15.に兵庫県養父市の天滝渓谷で見たマルバハネゴケ?】
遊歩道の脇の比較的日当たりの良い岩上に育っていました。
この姿を見ればマルバハネゴケしか思いつかないのですが、かなりの大きさです。
葉身細胞を見ても、最初のマルバハネゴケとは違って、細胞は丸く、トリゴンが大きく、ベルカがあります。
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