2015-12-26
コカヤゴケ
写真はコカヤゴケ( Rhynchostegium pallidifolium )だろうと思います。 アオギヌゴケ科は同定が難しいのですが・・・。 太陽の光があまり入らない谷の斜面にありました。
茎は這い、不規則に分岐しています。 茎が赤っぽく見えている所は、茎の色ではなく、仮根と土の絡んだ色です。
上の写真は左が湿っている状態で、右が乾いている状態です。 乾くと茎は曲がってきますが、葉は乾いてもあまり変化なく、茎にくっつこうともしません。
上は1枚の葉を見たもので、縁には全周にわたり小さな歯があります。 中肋は種を見分けるのに大切なものですが、上の写真では中肋は無いようにも、葉の中央近くに達する二又の中肋があるようにも見えます。 ところが・・・
上は同じ葉を偏光顕微鏡で細胞壁だけが光って見えるようにして撮ったものです。 同じ葉ですから、ゴミの位置は同じです。 これで見ると、中肋は葉の中ほどに達する1本であることが分かります。
葉の先は鋭く尖り、ねじれています(上の写真)。 多くの葉の先が、写真のようにねじれていました。
上は葉の縁の拡大です。 歯があり、葉身細胞は線形です。
もう1枚葉を載せておきます。 上の葉の中肋は葉長の2/3にまで伸びています。 また葉の先はねじれていません。 1枚の葉だけを見ていては結論を誤る可能性があるということでしょうね。
この葉も偏光顕微鏡で見たところ、上の写真では似た色になっている中肋と皺とをはっきり区別できました。 中肋がややこしい場合には、偏光顕微鏡が役に立ちそうです。
(2015.12.22. 堺自然ふれあいの森)
◎ まだ蓋も帽もついている蒴をつけた10月の様子はこちらに載せています。