2015-12-19
クラマゴケモドキ
写真はシダ植物のクラマゴケに似ているという意味の名前の、苔類のクラマゴケモドキ( Porella perrottetiana )だろうと思います。 自生地では前に載せたヤマトクラマゴケモドキ( P. japonica )だろうと思って上の写真を撮っていたのですが・・・
比較してみると、上の写真のように大きさはかなり異なります。 葉を含む茎の幅は、左のクラマゴケモドキが5mmほどであるのに対し、右のヤマトクラマゴケモドキ(以下、「ヤマト」と書くことにします)の幅は2mmほどです。
上は背面から撮ったものです。 葉は倒瓦状に重なってついています。 背片は鋭尖で先端部には数本の長い歯があり、この点でもヤマトとは異なります。
上は腹面から撮ったものです(深度合成しています)。 腹片にも腹葉にも全周に長い歯があります。 腹葉と腹片が密に重なりあっていて、この状態では腹片と背片の関係が見えないので、一部を取り出したのが下です。
上の写真は左の黒く写っている部分が茎で、中央に腹片が、その奥に大きく背片が写っています。 これくらいの倍率になると全体にピントを合わせることは不可能ですし、深度合成すれば全部くっきり写せますが、そうするとかえって上下関係が分からなくなります。 上の写真ではキール(葉が2つ折りになっている折り目=クラマゴケモドキなどでは背片と腹片の接続部分)にピントを合わせています。
クラマゴケモドキでは、背片と腹片が1点で接するのではなく、キールが存在します。 また、腹片の腹縁基部はほとんど下延せず、その基部末端はキールの高さとほぼ等しくなっています。 この点もヤマトなどとは異なります。
上は背片の葉身細胞で、トリゴンが見られます。
(2015.12.9. 京都市 西芳寺川)
◎ 本種は雌雄異株です。 こちらには雌株の蒴の様子を、こちらには雄花序をたくさんつけた雄株の様子を載せています。