2016-05-20

マルフサゴケ


 写真はマルフサゴケ Plagiothecium cavifolium でしょう。 土の斜面に生えていました。 和名を漢字にすると「丸房蘚」で、サナダゴケ科のコケは葉が扁平につくものが多いのですが、マルフサゴケは上の写真のように葉が丸くついているところからの名前でしょう。



 葉に注目すると、深く凹んでいて、先は急に尖っている葉が多く、先が反り返っている葉もあります。 葉は乾いてもあまり縮れません。
 平凡社の図鑑では葉の長さは1.3~2.0mmとなっていて、これもほぼ一致します。 ただ、蒴柄が平凡社では長さ10~15mmとなっていますが、上の写真では3cmほどあり、平凡社の2~3倍の長さです。 3cmほどの長さの蒴柄を持つものはサナダゴケ科ではオオサナダゴケモドキミヤマサナダゴケなのですが、どちらも他の特徴がぴったり一致しないようですので、条件がそろって蒴柄がよく伸びたことにしておきます。


 サナダゴケ科の中肋は2叉しています。


 葉の下延部の細胞は、葉基部の他の細胞と明瞭な違いは無さそうです。 葉身細胞は線形で、やや厚壁です。

 平凡社の図鑑には、マルフサゴケは「非常に変異の大きい種で、他種と混同されることがある。」とあります。

(2016.4.29. 神戸市立森林植物園)

こちらでは蒴歯の見える蒴をつけたマルフサゴケを載せています。