北海道・苫小牧市の樹幹についていた上の写真のコケ(撮影:2020.9.1.)、ひも状に伸びているのはバンダイゴケですが、いちばんたくさん写っているのは・・・
枝先に無性芽らしきものがついています。 写真を見て、まず思い浮かんだのはホソオカムラゴケでした。 しかし、ホソオカムラゴケの分布は本州~九州(平凡社)で、北海道には分布していません。
改めて観察しなおすとともに、ホソオカムラゴケに近縁の種を調べてみると・・・
上は乾いた状態で、葉は枝に接していますが、ほとんど縮れていません。 枝先が細く鞭状に伸びている枝があったり、枝は中部がもっとも太くなっています。 これらはオカムラゴケ Okamuraea hakoniensis の特徴に一致しますし、分布域も北海道~九州です。。
平凡社の図鑑の検索表では、本種の枝先に無性芽はないことになってるのが気がかりですが、そのことは保留して、とりあえず観察を続けます。
上は湿らせた状態の枝で、乾いた状態と比較すると、葉は少し開いています。 枝葉はホソオカムラゴケの枝葉より大きく、大きい葉では長さ2mmほどあります。
上の2枚は枝葉です。 下部には弱い縦じわがあります。 中肋は強壮で、葉長の2/3に達しています。 葉縁はほぼ全縁で、葉先近くに微歯があります。 また2枚目の写真のように、葉縁が少し外曲している葉もあります。
上は葉の基部で、翼部の細胞はほとんど分化していません。
葉身細胞は長楕円形~長い菱形で、長さは20μm前後です。
上の写真が最初に書いた無性芽らしきもので、観察していると、たくさん落ちてきます。 たしかに一般に無性芽と呼ばれているものに比較すると少し大きいのですが、これが無性芽ではないとすると、新しく作られた伸びかけの枝がとても落ちやすく栄養生殖に役立つと考えられます。
◎ オカムラゴケと思われるコケをこちらに載せています。
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