2020-10-06

コカモジゴケ?


 昨日載せたナスシッポゴケと同じ所の、朽木と呼んでいいような橋についていた写真のコケ、茎の先端から細長いものが上に伸びています。 撮影時には束になった新しい葉かなと思っていたのですが、拡大してみると・・・


 上の写真では乾いてきていて葉先を上に向けている葉も多く、少し分かりづらくなっていますが、上に伸びているのは鱗片状の葉をつけた小枝状の無性芽でした。 シッポゴケ科は似たものが多く、蒴が無いと検索表も使うのが難しいのですが、これをヒントに下記の観察をした結果、写真のコケはコカモジゴケ Dicranum mayrii だと思います。
 上の写真では褐色の仮根もたくさん写っています。



 多くの枝分かれがあり、葉の長さは3mmほど、小枝状の無性芽の長さは、時期や環境条件によって違ってくると思いますが、上の写真では3mmほどです。


 上は葉先近くで、葉縁に歯が見られます。 下は上よりほんの少し中央寄りのところで・・・


 葉の上部の中肋背面には明瞭なパピラがあります。


 上も葉の上部ですが倍率を上げています。 葉身細胞の背面にもパピラがありました(赤い円内)。


 上は葉の基部で、翼部は大きな細胞でできています。


 上は翼部のすぐ上での葉の横断面です。 中肋は葉の幅の1/6ほどを占めていて(平凡社の図鑑では1/4~1/5)、背方に突出しています。
 ヒメカモジゴケは本種に近縁で、小枝状の無性芽を持ち、葉の基部で中肋は葉の幅の1/5~1/7を占めるとされていて、上の写真とよく合います。 しかし中肋は目立って背方に突出せず、中肋の細胞はほとんど平滑で明瞭なパピラはありません。 ここでは細胞レベルの違いの方が変異が少ないと思い、コカモジゴケとしておきます。

(2020.8.31. 北海道 苫小牧市)

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