2015-11-18

ナメリチョウチンゴケ@11月


 写真はナメリチョウチンゴケ( Mnium lycopodioides )です。 山の径の真ん中に突き出ていた岩の側面に生えていました。


 ナメリチョウチンゴケは雌雄異株ですが、上の写真では雌株と雄株が混生しているようです。 雌株は胞子体を伸ばしはじめている時期でした。 また、雄株の雄花盤もしっかり残っています 。


 2枚目の写真では、雄花盤を囲む苞葉が乾いて縮れていましたので、湿らせて室内で撮ったのが上の写真です。


 上は花盤を真上から撮り、深度合成してみたものです。 役割を終えた造精器などは縮んで黒っぽくなっています。 なお、葉の縁が2重になっているように見えることについては、下に書きます。


 不稔の茎の葉は、上の写真のようにやや離れてつき、2列についているように見えます。 葉は卵形~卵状披針形で、鋭頭です。


 葉の上半分の縁には歯があります。 葉の縁にピントを合わせて斜め上から歯を撮ると・・・


 葉の表側に突き出した歯と裏側に突き出した歯が対になっています。 このような歯の双生はチョウチンゴケ属( Mnium )の多くのコケに見られます。


 上は葉の先近くを顕微鏡下で撮ったものです。 2~3細胞列の舷があります。 双歯ができるだけよく分かるように撮りましたが、このような真上からの写真では、これが限界です。


 上は葉身の顕微鏡写真です。 厚角の丸みを帯びた方形の細胞が並んでいます。

 (2015.11.11. 六甲山・山田道)

こちらには4月の胞子体や雄花盤の様子を載せています。 またこちらこちらではナメリチョウチンゴケの葉を中心に書いています。

※  北アメリカやヨ-ロッパには、ナメリチョウチンゴケの変種 Mnium lycopodioides var. inclinatum が分布します。