写真はシキミ Illicium anisatum です。 シキミはマツブサ科の常緑性小高木~高木で、宮城・石川県以西に分布します。 本種には独特の香りがあり、葉も透かすと油点が見え、傷つけると抹香に似た匂いを出します。 独特の香りがあることや、有毒植物であることが邪気を払う力があると考えられていたようで、仏事に広く用いられています。 なお、神事にはふつうサカキが用いられていますが、平安時代以前には神事にも本種が盛んに用いられていたと考えられています(Wikipedia)。
上は3月中旬の撮影ですが、花は3月~5月に咲きます。 上の写真の下方にツボミが写っていますが、ガクらしいものは見えません。
上は花を後ろ側から撮っています。 花被片は螺旋状についています。 ガク片と花弁の明瞭な分化は見られませんが、花の基部に近いものはやや幅広くて短い楕円形で、内側のものは細長い線状長楕円形です。
本種の花は雌性先熟です。 上には2輪の花が写っていますが、左上の花は雌期で、細い柱頭が八方に広がり受粉できる状態になっているのですが、写真が少し小さいので、下に同時期の花の中央部を載せました。 そして写真中央に写っている花は雄期で、柱頭は集まって束になってしまい、オシベは花粉を出しています。
上は雌期の花の中央部です。 らせん状についているオシベは若くて伸びきっておらず、メシベの柱頭は八方に広がって花粉を待っています。
上は花後です。花被片もオシベも受粉できなかったメシベも落ちてしまっています。 メシベは離生心皮からなり、7~10個が1輪についています。
上は9月下旬の撮影です。 上の写真では7つの袋果が側面で合着しています。 写真のいちばん奥は果実になれず、きれいな輪状になっていませんが、ふつう8個ほどの袋果が側面で合着します。
この果実が特に毒性が強いのですが、同じ属のトウシキミ Illicium verum(日本には自生していない)は毒成分を含まず、果実は八角、八角茴香(はっかくういきょう)、大茴香(だいういきょう)、スターアニスとよばれ、香辛料や生薬として利用されるため、誤って利用される心配があります。 そのためもあって、シキミの果実は、植物としては唯一毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。
上は10月中旬の撮影です。 果実は裂開し、種子が見えています。 この種子もヒトには有毒だと思うのですが、ヤマガラやヒメネズミはこの種子を食用としていますし、安芸の宮島のサルは、この種子を食べているようです(Wikipedia)。
果皮は木質化し、感想によって幅が狭まり、種子をはじき飛ばします。 上は種子が全て押し出された後の姿です。







