2016-02-29

ヒメコバチ科 Pediobius atamiensis のメス?






 ヤツデの葉の裏にいた写真のハチは、ヒメコバチ科の Pediobius属の一種でしょう。 P. atamiensis のメスのようにも思いますが、よく分かりません。 体長は 1.5mmでした。
 体の色は構造色によるものでしょう。 光の当たり方で微妙に色が変わります。

(2016.2.16. 富田林市 錦織公園)

2016-02-28

若い胞子体をつけたタマゴケ


 上は道の脇の斜面に生えているタマゴケ Bartramia pomiformis です。


 近づいてみると、上のような若い胞子体をたくさんつけていました。 タマゴケと言えば玉のような蒴ですが(こちら)、この時期はこんな線形なんですね。


 上の写真を見ると、頂生の蒴と側生の蒴があるようにも見えます。 しかし葉の色に注目すると、長い方の蒴柄が頂生した下から新芽が2本出て、そのうちの1本にも蒴がついたと考えられます。 つまり蒴は頂生です。

 上の写真からも1枚の葉は細く長いことは分かりますが、以下もう少し詳しく葉を調べてみました。


 上は葉の基部です。 途中から急に細くなり、先端部は、左にまだまだ長く伸びた先にあります。 中肋は葉の先端部にまで伸びています。
 下は上の赤い四角で囲んだ部分の拡大です。


 葉身細胞には背腹両面にパピラがあります。 葉の折れ曲がった所は細胞を横から見ることになり、パピラが分かり易くなります。 下は上の赤い四角で囲んだ部分の拡大です。


 パピラは1細胞当たり1~2個です。


 上は葉の先端部分です。葉縁にも背面にも歯があります。

(2016.2.12. 和泉市 槇尾山)

こちらでは1年をとおしてのタマゴケの蒴の変化を載せています。



2016-02-27

ミドリヒメカゲロウ


 ヤツデの葉の裏で越冬中のミドリヒメカゲロウ Notiobiella subolivacea です。 体長は6mmでした。
 クサカゲロウ科のアミメクサカゲロウ同様、翅を平らにしてとまっていますが、大きさはかなり異なります。 翅脈の様子もクサカゲロウ科とは異なっていて、ヒメカゲロウ科です。
 ヒメカゲロウ科で緑色をしているのは本種だけということですので、まず間違いは無いでしょう。


(2016.2.16. 富田林市 錦織公園)


2016-02-26

ヒメクラマゴケモドキ



 写真はヒメクラマゴケモドキ Porella caespitans var. cordifolia でしょう。 岩上に生育していました。 乾いて反り返っています。


 上は湿らせて葉を広げ、背面から撮ったものです。 葉(背片)は 1.5~2mmの長さです。


 上は比較のためにクラマゴケモドキ(左)と並べてみたものです。 両方とも湿らせて葉を広げたのですが、クラマゴケモドキは乾き始めて葉を巻きはじめています。


 上は背面からの写真です。 背片は広卵形で全縁、先は長く漸尖しています。 また背片背縁の基部は反対側に張り出しています。


 上は腹面から撮ったものですが、乾燥で特に背片は反りはじめています。 腹片は長舌形で、全縁・鈍頭です。 腹葉は茎の幅より広く、先は切頭で、基部の左右端は茎に沿って下垂しています。


 上は腹葉の先にピントを合わせたものです。 大きく見ればたしかに腹葉の先は切頭ですが、上の2枚の腹葉のうち、上の腹葉の先には切れ込みがあり、下の腹葉の先には歯があります。

(2016.2.12. 和泉市 槇尾山)

◎ ヒメクラマゴケモドキはこちらにも載せています。

 

2016-02-25

レプラゴケの一種


 ヒノキの樹皮についているのは、地衣類のレプラゴケの一種 Lepraria sp. でしょう。


 上は1枚目の写真の一部を拡大して撮ったものです。 レプラゴケは不完全地衣類で、子嚢胞子の形成が見られず、地衣体全体が粉芽状です。 たくさんの種類があり、色もさまざまです。


ヌカカ科 Atrichopogon属の一種





 写真はヌカカ科のAtrichopogon属の一種だと思います。 ヤツデの葉の裏で越冬中でした。 越冬中のハエ目はハチ目よりもすぐ飛んでしまう印象を持っているのですが、このヌカカは写真を撮りだすとすぐに歩きはじめ、飛び去ることはありませんでした。
 おちゃたてむしさんBABAさんのところに載せられているものとよく似ているのですが、解像度の違いかもしれませんが今回載せたものの方が胸部背面の毛がまばらなようで、体長も 1.9mmと少し小さく、別種のような気がします。
 「ヌカカ」は「糠のように細かい(=小さい)蚊」という意味でしょうが、ヌカカの多くはカと同様にメスが動物の血を吸います。

(2016.2.16. 富田林市 錦織公園)

2016-02-24

リボンゴケ


 写真はリボンゴケ Neckeropsis nitidula です。切り立った岩上に生えていました。


 葉は扁平に重なってついていて、強い光沢があります。 上は乾いた状態ですが、葉は縮れていません。


 大型のコケで、一次茎は這い、そこから長い二次茎を出します。 上の写真は二次茎で、枝をわずかに出しています。 上の写真の数字の単位はcmで、葉の長さは2~2.5mmです。


 葉はヘラ状で、上部が幅広く、中肋は葉の中ほどで終わりますが、短く叉状になる場合もあります。 葉の基部下側の葉縁はしばしば内曲しています。


 上は葉の先を拡大したものです。 葉の先には短突起と微歯があります。 葉身細胞は楕円形~長い菱形です。

(2016.2.12. 和泉市 槇尾山)

こちらにはリボンゴケの造卵器の様子を載せています。


2016-02-23

オナガコマユバチ亜科 Spathius属の一種のオス?



 写真はヤツデの葉の裏にいた蜂で、体長は 2.5mmでした。 この蜂は前に載せたコマユバチ科オナガコマユバチ亜科( Doryctinae )の Spathius属の一種(こちら)によく似ているのですが、少し小さく、産卵管が見当たらないことから、同種のオスの可能性があります。 ただし種に関しては、Spathius属は種分化が著しく進んだ属で、日本産だけでも70種以上が記録されているそうで、前に載せた時にも、写真からでは種の同定までは無理ということでしたので、今回載せたものは前回載せたものとは別種の可能性もあります。

(2016.2.16. 富田林市 錦織公園)

2016-02-22

ホソバギボウシゴケ



 写真はホソバギボウシゴケ Schistidium strictum でしょう。 かなりの年代を経た日当たりの良い石垣についていました。 蒴の赤い蓋がよく目立ちます。


 1~2枚目の写真や上の写真は乾いた状態で、葉は茎に密着しています。 下は湿った状態、上とほぼ同じ所を撮っています。 蒴は雌苞葉に沈生しています。


 帽は小さく、蓋の一部を覆っているだけです。 中肋は葉の先にまで達しています。


 上の写真の目盛の数字の単位はmmです。 葉の長さは2mmほどです。 真横から見ると、蒴は雌苞葉にほとんど隠されてしまいます。


 葉は全縁または先端付近にかすかな鋸歯が見られます。 葉縁の細胞層は厚くなっています。


 葉身細胞は矩形~方形で、厚壁です。

(2016.2.12. 和泉市 槇尾山)

◎ ホソバギボウシゴケはこちらにも載せています。


2016-02-21

コガネコバチ科 Acroclisoides属の一種


 写真はコガネコバチ科の Acroclisoides属の一種だと思います。 ヤツデの葉の裏にいました。 大きな頭部です。 体長は 1.5mm、翅端まででも 1.7mmほどです。



 同じ Acroclisoides属はこちらにも載せていますが、これとは翅の模様も色も異なり、明らかに別種です。
 顔も撮りたかったのですが、顔を上げてくれる前に同じ葉にいる別の虫に目が移ってしまい、撮れずじまいになってしまいました。

(2016.2.16. 錦織公園)

2016-02-20

ハネヒツジゴケ


 写真はハネヒツジゴケ Brachythecium plumosum だろうと思うのですが、アオギヌゴケ科は似たものが多く、そのうえハネヒツジゴケは変異が著しい種なので、少し心配です。(こちらにも本種と思われるコケを載せていますが、葉形はかなり異なります。)
 茎は這い、不規則に密に分岐しています。


 上の写真の数字の単位はmmですから、枝は葉を含めて幅1~2mmです。 上の写真は乾いた状態で撮っていて、葉は乾いても縮れていません。


 上は枝葉です。 葉は披針形で、葉先は細長く尖り、葉縁にはかすかな歯があります。 中肋は葉長の1/2~4/5で終わっています。


 上は葉先を拡大したものです。 葉身細胞は線形です。


 上は葉の基部です。 翼細胞はやや分化しています。


 蒴柄は赤褐色で、長さは1~1.5cmです。


 蒴柄の上半部にはパピラがあります。(下半分は平滑です。)

(2016.2.12. 槇尾山)

◎ ハネヒツジゴケはこちらにも載せています。