2014-11-30

シシラン


 シシランはシシラン科に分類される熱帯系のシダで、日本では関東以西の森林内の湿度の高い所で見られます。 大株となって、たくさんの細く長い葉を茂らせます。 名前は、岩上に生えるこのシダの様子を、岩を獅子の顔に、このシダを獅子のたてがみに見立てたものだと思います。


 上の写真は、左が葉の表、右が葉の裏です。 胞子のうは、裏側に巻き込んだ葉の縁に沿ってつきます。 上の写真の褐色の部分が胞子のうのある所です。

(撮影 : 2014.10.30. 岩湧山)

2014-11-29

ムツキボシテントウ・ウスキホシテントウ



 上は六つの黄色の星の模様があるムツキボシテントウです( そのまんまです )。 上の写真では林床の草の葉の上ですが、アカマツやクロマツなどの松林にいて、松につくアブラムシ類を食べています。
 上の写真は 2014.10.26.に富田林市の錦織公園で撮ったものです。

 ムツキボシテントウとよく似たものに、ウスキホシテントウがいます。 下は 2013.4.1.に奈良県の馬見丘陵公園で撮ったもので、芽にぴったりくっついていて頭部の様子が分からないのが残念ですが・・・。
 淡色の部分は乳白色~黄色で、下の写真のものは色の濃い黄色です。 乳白色のものはこちらに載せています。



 ムツキボシテントウとの違いは、横から見た時に、ウスキホシテントウでは黒色の部分が外縁に達し、淡色の部分を分断しています(上の写真)が、ムツキボシテントウでは黄色の部分が分断されることはありません。

 ムツキボシテントウもウスキホシテントウも、個体数はそんなに多くはありません。

2014-11-28

ヘラサギ

 2年前に大阪南部に飛来したクロツラヘラサギを載せました(こちら)が、今年はヘラサギが飛来しています。
 同じ属のクロツラヘラサギと比較すると、ヘラサギは、面(つら)が白い他に、少し大型で、嘴の前方は黄色みを帯びています。



 ヘラサギはユーラシア大陸中部とインドで繁殖し、冬季はアフリカ、ペルシャ湾沿岸、インド、中国南部などで越冬します。 日本へは少数が冬鳥として飛来します。
 今度いつ大阪で見ることができるか分からないので撮りに行ってきたのですが、現在いる池は水が少なくなっていて、ヘラサギのいる場所は、どうしても逆光になってしまい、なかなかいい写真が撮れません。

アオサギと

お休み時の1本足姿勢 手前はユリカモメ

2014-11-27

大阪湾のミヤコドリ

 ミヤコドリは日本には旅鳥または冬鳥として飛来していますが、飛来地は限定的です。 近畿地方では三重県には毎年飛来しています(こちら)が、大阪湾には稀です。
 そのミヤコドリが泉南の海に11月はじめ頃より来ています。 飛来当初は4羽だったようですが、うち1羽はハヤブサに追い回されたとかで、現在3羽が居続けています。


 飛来当初から人をあまり恐れないようで、けっこう近くまで来てくれます。


翼の下面は純白です

 ミヤコドリの英名は Oystercatcher で、カキなどの2枚貝の殻をこじあけ、中の軟体部を食べます。 見ていると、泉南に来ているミヤコドリはアサリをよく食べているようでした。

礫に嘴を突っ込んで餌探し

貝殻は海中で取り除いたたらしく、口に入れたのは軟体部のみ

 この地は、カモメ類やカモ類の他、ゴカイ類やカニなどを餌とするシギやチドリなどもよく飛来する場所ですが、2枚貝を餌とするものは思いあたりません。 今年は貝毒が話題になり、人が貝を採らなかったために、餌が豊富にあるのかもしれません。 長く居続けてくれている理由もそのあたりにあるような気がしました。
 東京湾でもミヤコドリは増加傾向にあるらしく、この調子で毎年飛来してくれるようになればいいのですが・・・。

2014-11-26

アシブトコバチが舐めていたものは

 アシブトコバチの一種(体長は翅端まで3.5mm)が数mの範囲にたくさん集まっている所がありました。

イタドリの葉上

クヌギの葉上

 特にササの葉には多くて、


 例えば上の写真では3頭います( 赤い◎のところ )。

 最初はどこか近くで羽化したのだろうと思っていたのですが、それなら次第に分散していくはずです。 しかし、飛んで行くものや飛んで来るものなど出入りはあるのですが、密度はそんなに変わりません。

クヌギの枝の上で

 そして多くの個体が、上の写真のように、何かを舐めています。 どうも何かを舐めるために集まってきているように見えました。

 下はササの葉の上の行動を動画に撮ってみたものです。 体長3.5mmほどの動きまわるものを手持ちで撮っていますので、画面の揺れやボケはお許しを・・・。 なお、動画の BGMにはMusMusさんの楽曲を使用しています。


 上の動画では、いったん舐めていた場所を離れ、また同じ場所に戻ってきています。 そこに何かがあるのでしょう。 しかし、舐めていたアシブトコバチを追い払い、その場所をルーペで探してみても、餌となりそうなものは見当たりません。 いったい何を舐めていたのでしょうね。

(11月21日 堺市南区岩室)

2014-11-25

ハネナガトビコバチ?




 トビコバチ科  Tetracneminae亜科の ハネナガトビコバチ Ericydnus japonicus に関しては、おちゃたてむしさんのところで検討されています。 写真のものがそのハネナガトビコバチではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 体長は翅端まで3mm、ヤツデの葉の裏にいて、写真を撮り始めると、すぐに歩きだしました。

(11月1日 堺市南区鉢ヶ峯寺)

ハエヤドリクロバチ科の一種


 写真はハエヤドリクロバチ科の一種だと思います。 体長は 2.3mm、翅端までは 2.8mmでした。 ヤツデの葉の裏で見つけた時は、上の写真のように翅を広げていたのですが、すぐに下の写真のように、翅を閉じて歩きだしました。


(11月1日 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-11-24

オオナミザトウムシ

 寒くなると虫が少なくなるだろうと撮り溜めしすぎて消化しきれません。 1日に複数の記事を載せればいいのですが、ブログ作成にばかり時間をかけられないし・・・。 で、今日は10月末に撮ったものです。



 スギの木の幹にオオナミザトウムシが数頭集結していました。 上はそのうちの2頭です。 餌となるものに集まってきているとも思えません。 小さい方がオス、大きい方がメスで、生殖に関係しているのでしょうか。
 集団の様子をいろいろ撮ろうと思ったのですが、カメラを近づけたりフラッシュを光らせたりしていると、散らばってしまいました。


 上は2枚目の頭胸部を拡大したものです。 各部の名称をつけておきました。

(2014.10.30. 岩湧山)

2014-11-23

フタモンホシカメムシ

 今日は小春日和、近所を散歩していると、公園に面した民家の白壁にいろいろな虫がいました。 そのうちの1種、地表性であるはずのフタモンホシカメムシも、暖かさに誘われてか、数頭が壁の上を動きまわっていました。 そのうちの1頭はお食事中・・・


 犠牲になっているのはハバチの一種だと思います。 ハバチの体にはクモの糸が絡んでいますから、動けなくなったハバチの体液を吸っているのでしょう。


 角度を変えて見ると、フタモンホシカメムシの口吻がよく分かります。 上の写真では、カメラを近づけているため、刺していた口吻を抜いています。


 ところで、フタモンホシカメムシ( 以下、フタモン )と、同じ属のクロホシカメムシ( 以下、クロ )とは、たいへんよく似ています。 両者を見分けるポイントは、フタモンの脚のつけ根に乳白色の紋があり( 上の写真の① )、クロではこの部分も黒いこと、フタモンに見られる腹面の白っぽい環状紋( 上の写真の② )がクロでは無いか、あっても細いことが挙げられます。


 同じ壁には、上のようなフタモンホシカメムシもいました。 フタモンホシカメムシには長翅型と短翅型がいます。 3枚目までのものが長翅型、上が短翅型でしょう。 (長翅型はこちらにも載せています。)

2014-11-22

ヨモギエダシャクの幼虫

2014.11.6. 堺自然ふれあいの森


 ヨモギにいた上の写真のイモムシ、写真ではよく分かりませんが、シャクトリムシつまりシャクガ科の幼虫です。 ヨモギを食餌植物とするシャクガ科の幼虫もいろんな種類がいるのですが、上はヨモギエダシャクの幼虫ではないかと思います。
 ヨモギエダシャクの幼虫は、少なくとも私にとっては、厄介な幼虫です。 1齢幼虫は背面に縦の黒条がある淡緑色で、2齢幼虫は全体黒褐色と変化し、さらには3齢幼虫以降の体色は、緑色型、淡褐色型、暗褐色型など、たいへん変化に富んでいます。 さらにさらにヨモギエダシャクの幼虫の食餌植物は多岐にわたり、どんな植物の上にいるか分かりません。 タケニグサを食べている下のシャクトリムシもヨモギエダシャクの幼虫だと思っています。

2013.9.9. 岩湧山麓

 ではヨモギエダシャクの幼虫の特徴はどこにあるのでしょうか。 1つは、背から側面に刺毛が散在しますが、その基部には丸い隆起(疣起:ゆうき)があり、特に第2腹節の背側にある1対が大きいことです。 ただしこの第2腹節背面の疣起の大きさにも、かなりの個体差があるようです。
 もう1つは、上記の第2腹節背面の疣起の前方に、縦長の暗色斑があることです。 ただし、この暗色斑にも、かなりの個体変異があり、なかにはほとんど認められない場合もあります。

 ところで・・・

2014.10.24. 堺自然ふれあいの森

 上の幼虫は、頭部が大きいシャクトリムシで、調べたらすぐに名前は分かるだろうと思っていましたが、なかなか分かりません。 「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」にも質問してみたのですが( No.2229 )、回答は得られませんでした。 悩みながら、写真を見返していると・・・


 背面から撮った上の写真を見ると、上記のヨモギエダシャクの特徴があてはまります。 画像掲示板に出したのは横からのみの写真でしたから、回答いただけなかったようです。 頭部の膨らみは気になりますが、何らかの異常だと思われます。

2014-11-21

クロヒラタアブ



 上はツワブキの花に来ていた ハナアブ科ヒラタアブ亜科のクロヒラタアブでしょう。 春から秋にかけて日本全土で見られますが、よく見かけるホソヒラタアブなどに比較すると、個体数は少ないようです。


 上はヨシノアザミに向かって飛翔中のクロヒラタアブです。 シャッター速度は1/1,600秒ですが、まだ少し翅が動いています。

2014-11-20

ホソヒラタアブ

 ホソヒラタアブはあまりにも普通種すぎて、これまでツワブキの添え物のような扱いをしたり(こちら)、産卵の様子を載せたり(こちら)はしましたが、きちんと撮った写真は載せてこなかったようです。


 ホソヒラタアブは、ハナアブ科ヒラタアブ亜科に分類されています。 腹部には太い黒帯と細い黒帯が組み合わさった横帯模様がありますが、この模様には個体差があります。 ここに載せた3枚の写真を比較しても、少しずつ違います。
 もうひとつ、上はオスで、下の2枚はメスです。 ハエやアブの仲間には、オスの方が複眼が大きく、オスでは左右の複眼が接していますが、メスの複眼は離れているというグループが、たくさん見られます。


 上はシオンに来ていたホソヒラタアブですが、花の陰にクモが隠れています。 ホソヒラタアブの危機! と、衝撃的な一瞬を期待してカメラを構えておくべきでしたが、クモの存在は、PCで写真を見て気づきました。 残念・・・


 上はヨシノアザミに向かうホソヒラタアブです。 シャッター速度は1/500秒で撮ったのですが、翅がブレています。 翅をとても速く動かしていることが分かります。 (写真は 1,600×1,200まで拡大できます。)

2014-11-19

ハヤシノウマオイ(メス)


 上はハヤシノウマオイだろうと思います。 林縁のササの上に乗っていました。 これと外見上の違いはほとんど無く、生態的にも似ているハタケノウマオイがいて、鳴き声で区別するのですが、写真のものはメスですから、鳴きません。


 前脚と中脚、特に前脚の脛節には鋭いトゲが並んでいます。 ウマオイは肉食性がたいへん強く、他の昆虫などを捉えるのに、このトゲが役立つのでしょう。
 複眼の模様にも特徴がありますね。

(2014.10.24. 堺自然ふれあいの森)

2014-11-18

キイロシリアゲアリ



 伐られて横倒しにされ朽木となっていたものの樹皮をめくると、キイロシリアゲアリの巣であったらしく、アリたちが右往左往していました。 今まで葉の上などで何度も見たことはありますが、巣ははじめてです。 しかし巣の中心部は朽木の奥など別の場所にあるらしく、卵も幼虫も女王アリらしきものも見られませんでした。


 多くのアリたちが右往左往する中で、上のように、1頭のアリが数頭のアリに取り囲まれていました。 1頭のアリをどうにかしようとしているようですが、女王アリならもう少し大きいはずです。 しばらく見ていましたが、結局何をしているのか分かりませんでした。

(2014.10.24. 堺自然ふれあいの森)

2014-11-17

トビモンケチャタテ?



 上はケチャタテ科の一種でしょう。 体長は3mmほど、翅端までですと 4.3mmほどでした。 おちゃたてむしさんのところで検討され、トビモンケチャタテ Valenzuela gonostigma ではないかとされているものとよく似ています。
 (2014.11.17. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

 下もケチャタテ科の一種で、上とよく似ていますが、よく見ると違いもあり、大きさも少し小さく、体長は 2.7mm、翅端までは4mmでした。  上とは別種なのか個体差なのか、よく分かりません。
(2014.10.24. 堺自然ふれあいの森)