2014-09-30

TG-2 に LG-1 ②

 オリンパスの LG-1 を TG-2 につけて試し撮りした結果を前に書きました(こちら)。 その後の使用に関しては、大きくは撮れるが超接写の画質が悪いという印象で、主たる撮影機材にはしていませんが、地面スレスレの写真を撮ったり、水中に入れても大丈夫などの利点もあり、サブカメラとして持ち歩き、次第に使用頻度も増えてきました。  特に、デジイチの太いレンズとフラッシュ使用は不可能な、細い隙間の奥に光を当てて撮りたいような場合には、TG-2 はほんとうに役立ちました。 そこで、 LG-1 を使用した場合の光の回り方を頭に入れておこうと思い、実験してみました。


  上は表面がザラザラしているボードと LG-1 をつけたカメラとの距離を 1.5cmほどにし、カメラ本体のLEDライト光を  LG-1を使用して照射し、ズームのワイド端で撮ったものを、トリミングなしで載せたものです。
 光は隅々まで回っていませんが、こんな近距離でワイド端で撮ることはありませんから、これは問題なし。 問題は中心部に光が回っていないことです。 このような状態で拡大して(=ズームインして)撮ると、LG-1 を使用しても被写体に光が十分回らず、ISO感度が高くなり、画質が粗くなってしまいます。 超接写で画質が悪かった理由の一つはこれかもしれません。
 では、カメラと被写体の距離をどれくらい離せば視野の中心部まで光が回るのか、結論だけ書きますと、5cmほど離せば、ほぽ視野の中心部まで照射されるようです。 LG-1は、光が径3cmほどの範囲からあまり広がらないように作られていますが、それでもカメラと被写体との距離が広がれば、弱い LEDライトの光がさらに弱くなります。 ですから、LG-1 を使用して、最も LEDライトの光を有効に使えるのは、3cm以下の被写体で、カメラと被写体との距離が5cmほどの時だということになりそうです。
 こんなことがいろいろ分かってくると、LEDライトよりはるかに強い光を出すフラッシュも利用したくなります。 LG-1 の注意書きには、LG-1 は LEDライトで使用し、フラッシュでは使用できない旨が書かれてあります。 実際フラッシュを光らせてもリング部分に光が導かれないつくりになっています。 しかし昆虫写真家の海野和男氏などは、LG-1 を改造して、LG-1 でフラッシュを使えるようにしておられるようです。 たぶんオリンパスは、フラッシュの連続使用ではフラッシュの熱に LG-1 が耐えられないなど何らかの理由で、トラブルを避けるために LG-1 ではフラッシュを使用できないようにしたのでしょう。
 私もフラッシュが使えるように、LG-1 を改造してみました。 改造 LG-1 を使用しての結果は、ほぼ満足できるものでした。 上に書いた5cmより短い距離でも、フラッシュの強い光なら有効のようです。 ただしこの改造の方法は、LG-1 の強度を弱めることになるでしょうし、オリンパスの心配を助長するものでしょうから、ここには載せないことにします。
 改造 LG-1 を使用した写真を下に載せておきます。 体長2mmほどのオオチョウバエ?の触角です。 カメラを近づけてもっと大きく撮れますが、逃げられること避けて安全な距離を確保しています。


 上の写真は、下の写真(ニコンD7100、60mmマクロ、トリミング)の水色の四角で囲った部分を撮ったものです。


2014-09-29

ツマジロカメムシ


 ヨシノアザミに美しいカメムシがいました。 構造色であるらしく、見る角度によって色が変わります。 このような構造色を持つカメムシは限られていて、Menida属だと思われます。
 Menida属には、ツマジロカメムシ、スコットカメムシ、ナカボシカメムシがいて、互いによく似ていますが、写真は体の模様や小楯板の形状などから、ツマジロカメムシだと思います。


 見る角度によって色が変化することを確認しておきます。 1枚目の写真では、前胸背板は赤紫色で、前翅と小楯板は緑色を帯びています。 しかし2枚目の写真(=上の写真)では、前胸背板に緑がかったところが見られ、前翅と小楯板は赤紫色です。 そして下の写真は、この写真だけフラッシュを使用したこともあり、全体が赤紫色に見えます。 もちろん3枚とも同一個体です。


 光の条件によっても異なりますが、どうやら、斜めになった面では緑色を帯び、正面に向いた面や、フラッシュの光があたるなど、光の入射角(=反射角)が小さい場合に赤紫色に見えるように思います。

 腹面(ピントがあまいですが・・・)と顔の正面からの写真も下に載せておきます。



(2014.9.28. 岩湧山)

2014-09-28

ビロードハマキ


 地球温暖化の影響か、分布を北に広げている昆虫がいますが、ビロードハマキもそのうちの一種です。 2003年あたりから東京都内での発生量が増加し、現在は福島県あたりまで発生が見られるようです。


 美しい蛾は美しい姿で見たいものですが、私がこれまでビロードハマキを見たのは、何者かに襲われてバラバラになった翅だったり、死骸だったりで、今回も残念ながら翅が欠けています。


 ビロードハマキの雌雄差については、メスの方が大きいのですが、これは並べてみないと分かりません。 模様は、個体差があるものの、 背側のたくさん並んでいる白い斑紋がメスの方が大きいようです。 私は、白い斑紋の直径と斑紋間(黒っぽい地色)の長さを比較し、斑紋の直径の方が大きければメス、そうでなければオスだと思っています。 この決め方に従えば、9月21日に撮った上はオスで、下( 6月19日撮影:死んでます )はメスでしょう。


 ビロードハマキは年2回の発生で、成虫は6~7月と9~10月に出現します。 夏はカエデなどの落葉樹に卵を産み、秋はアセビ、ツバキ、カシなどの常緑樹に卵を産み、常緑樹の葉を合わせた中で幼虫で越冬するようです。 下は冬を越した幼虫です(5月19日撮影)。


2014-09-27

クロスジシロコブガ


 壁にとまっていた前翅長 6.5mmの小さな蛾ですが、白と黒でよく目立ちます。 所々鱗粉が落ちていますが、コブガ科のクロスジシロコブガでしょう。 斜め横から見ると、鱗粉の盛り上がっているところがあります(下の写真)。


 「みんな蛾」によると、成虫の出現月は4~9月で、幼虫の食餌植物はクローバやスギナなどのようです。


 上は今年の6月下旬に撮ったものです。 こちらの方が鱗粉はよく残っていますが、それでも胸部背面は鱗粉が少なくなって黒っぽくなっています。 Web上の写真を見ると、胸部背面の黒くなったものは見当たりません。 どうしてこちら(堺市南区豊田)のクロスジシロコブガはこの部分の鱗粉が取れるのでしょうね。

2014-09-26

イヌコウジュ


 イヌコウジュを漢字で書けば犬香薷(クサカンムリに需)で、香薷は漢方で使用している名称で、主にナギナタコウジュであるようです。


 同じ属のヒメジソに似ていますが、葉の鋸歯が片側に4~6であるのに対し、イヌコウジュの葉では片側に6~13個の鋸歯があります(上の写真)。 上は花序直下の葉を撮ったので広卵形ですが、下の方の葉はもう少し細長くなります。
 また、ヒメジソの茎では稜に粗い毛が生えるのに対し、イヌコウジュの茎には全体に細毛があります(下の写真)。



 ヒメジソにも少し腺点が見られますが、イヌコウジュでは葉や茎やガクにたくさんの腺点が見られます。 上の写真ではガクの腺点がよく分かります。


 上は花を正面から撮ったものです。 4本のオシベは上下2本ずつに分かれ、下の2本はごく小さなものになっています。

(2014.9.15. 堺自然ふれあいの森)

2014-09-25

コハナバチ科の一種




 ヨモギの葉の上にコハナバチ科の一種。 カメラを近づけても逃げないのは、何かに熱中している時。


よく見ると口の周囲に水滴があり、舌を動かしていました。


 いちど飛ばれましたが、すぐ近くにとまってくれました。 口器のつくりは上の方がよく分かります。

 同様の行動はBABAさんのところ(こちら)にも載せられています。 このような行動は、ハナバチの仲間やハエの仲間で時々観察されています。 私のブログでは、ツマグロキンバエが水滴を口から出し入れしているのをこちらに載せています。 何のためなんでしょうね。

2014-09-23

アカスジツチバチ


 アカスジツチバチ( Carinoscolia melanosoma )のメスが、朽木に出たり入ったりしていました。 卵を産みつけるコガネムシ類の幼虫を探していたのでしょう。


 アカスジツチバチはキオビツチバチ(以下「キオビ」と書きます)に似ていますが、上額に横長の稜があります。 また多くの場合、額にはキオビには見られない斑紋がみられます。


 腹部の紋の色は、キオビよりも濃くオレンジ色で、キオビのメスのような目玉模様になったり、キオビのオスのように紋が伸びて帯状に近くなることもありません。 なお、アカスジツチバチのオスは、しばしば腹部の斑紋が退化するようです。

( 2014.9.15. 堺自然ふれあいの森 )

2014-09-21

アカスジシロコケガ

 幼虫が地衣類を食べて育つコケガの仲間には、雌雄で模様の異なるものがいます。 アカスジシロコケガも、ヨツボシホソバなどのようには極端ではありませんが、やはり雌雄で模様が異なります。


 上はメスです。 雌雄の違いには関係ありませんが、前翅前縁( 翅の名称についてはこちらをご覧ください )の頭部近くに双翅目らしいものがくっついています。 撮っている時にはゴミだとばかり思っていたのですが・・・。


 上はその双翅目を拡大したものですが、何をしているのでしょうね。 撮影時に気付けば、もっと倍率を上げて撮影していたのですが・・・。


 そして上がオスです。 1枚目のメスは翅の重なりが大きいので、前翅外縁付近の模様が異なるように見えるかもしれませんが、この部分は同じです。
 メスとオスを比較してみると、翅の黒斑がメスでは1つですが、オスでは2つあり、オスでは赤い帯も黒斑に近づいています。
 もうひとつ、オスの翅の黒斑近くには性標があります。 色はやはり赤と白で見分けがつきにくいのですが、下はその部分を拡大したものです。


 性標の部分は、他の部分と異なり、細長い鱗粉が並んでいます。 たぶんこの部分が発香鱗でしょう。
 夜行性の蛾の多くは、メスが腹部の先からフェロモンを出してオスを呼ぶことが知られています。 一方、昼間に活動するチョウ目で配偶行動ににおいを利用するものは、アサギマダラオオゴマダラなど、私の知る限りではオスがにおいを出しているようです。  アカスジシロコケガは夜行性の蛾です。 この発香鱗は配偶行動にどのように関係しているのでしょうね。

 ところで、6月19日に、壁にくっついた下のようなものを撮影していました。


 このような繭は、幼虫が自らの毛を抜いて作るようで、Cyana属特有のものです。 Cyana属には3種が知られていますが、アカスジシロコケガ以外の2種は西南諸島を中心に分布していて本州での記録はほとんどありませんから、たぶんアカスジシロコケガのものでしょう。
 おちゃたてむしさんのところには、繭を作っている幼虫と、その繭が載せられています(こちら)。 撮影は6月4日で、蛹の背面には幼虫と同じ橙色がみられます。 またBABAさんのところにも蛹が載せられています(こちら)が、6月18日の撮影で、蛹の色は、ほぼ真っ黒です。 私の上の写真は6月19日の撮影で、お二人の中間的な色をしています。 たぶん次第に黒くなっていくのでしょうね。
 このような隙間だらけの繭が蛹を守ることに役立っているのかと思いますが、上記のBABAさんのブログには、この繭がツヤコバチの侵入を阻んだことが書かれています。

2014-09-20

エゾビタキ


 写真は大阪城公園で撮ったエゾビタキです。 濠の上に張り出した木の枝にとまり、飛んでいる虫を見つけては飛び出して空中で捕らえ、枝に戻ることを繰り返していました。 このようにエゾビタキの食性は昆虫類等を主にした動物食です。
 エゾビタキは、日本では春と秋の渡りの時期に飛来する旅鳥ですが、秋の方が多く見られます。


2014-09-19

ジョロウグモの体の模様の変化


 上は9月9日に撮ったジョロウグモの雌雄で、大きい方がメスです。 茶色の壁の前に巣を張っていたので、こんな写真になりました。
 どこにでもいるクモで、今まで注意を向けてこなかったのですが、改めて見ると、メスの体の模様がずいぶん変化するようだと気づきました。 そこで、過去に撮った写真を引っ張り出して並べてみました。


 上は10月30日の撮影、下は10月10日の撮影です。


 2枚目と3枚目は日付が逆転していますが、ジョロウグモは成長に伴って(脱皮に伴って)、1枚目→2枚目→3枚目 と模様が変わっていくのだと思います。 こうなると1枚目より前の姿を撮りたくなりますが、来年ですね。

 もうひとつはオスの存在です。 3枚目の写真にはオスが2頭いますが、1枚目の写真にもオスがいます。 こんな時期から交接(注)の機会を狙っているのでしょうか。

(注) クモはオスの触肢に精液を溜め、これをメスの腹部腹面の胸部に近い所にある生殖口( 下の写真の水色の円で囲った部分 )に入れます。 このような行為は交尾と区別して交接と呼ばれています。


2014-09-16

ハラキンミズアブのメス



 写真はハラキンミズアブのメスだと思います。 オスは以前に載せています( こちら )が、形態も色もかなり異なります。


 複眼の中央を走る窪みは、視覚的にどのような効果があるのでしょうね。

(2014.9.9. 堺自然ふれあいの森)

2014-09-14

ミカドドロバチ?



 ヨウシュヤマゴボウの花にドロバチが来ていました。 ミカドドロバチかとも思いますが、この類の蜂も模様の変異があって、よく分かりません。
 真上からの写真は、下のようなピンボケでブレブレの写真しか撮れませんでした。 で、上の2枚の写真はクリックで拡大できますが、下の写真は拡大できません。


( 2014.9.9. 堺自然ふれあいの森 )

2014-09-13

ツバメチドリ

 ツバメチドリの繁殖地は中華人民共和国東部やロシア南東部などで、東南アジアやオーストラリア北部などで越冬します。日本には旅鳥として稀に飛来します(わずかですが繁殖例もあります)。
 そのツバメチドリが大阪府の南部に来ているというので、今日見に行ってきました。 もう飛来して10日ほど経つので心配でしたが、まだいてくれました。


 夏羽は嘴の基部が赤く、眼の下から喉にくっきりとした黒線があって美しいのですが、今はもう冬羽です。

イソシギ(左)と大きさ比べ



 翼は長く、尾羽も長く2又に分かれ、“燕尾”状になっています( 上の写真 )。 ツバメチドリの名前は、この翼や尾羽の様子がツバメに似ているところからでしょう。

時々上を見上げて・・・

翼の下面は赤っぽい色をしています

虫がいると飛びたち・・・


空中でバッタをGet! 食事は地上で・・・

なかなか鋭い嘴です

 ツバメチドリの食性は動物食です。 飛んで虫を捕らえていました。