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2021-03-18

シナクジャクゴケ

 

 岩上に育っていた写真のコケ、以下の観察結果から、シナクジャクゴケ Hypopterygium tenellum のようです。 分布は平凡社の図鑑では近畿以西となっています。

 上は背面から撮っています。 クジャクゴケ属は、基物上を這う一次茎から二次茎が立ち上がり、上部で多くの枝を同一平面上に出し、全体としてクジャクの尾が広がったような姿になるのですが、クジャクゴケヒメクジャクゴケと比較すると、枝は比較的下部からも出ていて、全体としては小型です。

 上は腹面から撮っています。 この仲間の枝につく葉は、左右につく側葉と腹面につく腹葉とがあります。

 上は側葉です。 中肋は葉長の1/2~2/3ほどの所で終わっています。 緑色が少し淡くなっている所は葉が重なっていた所です。

 上は側葉中部の葉身細胞で、左下に中肋が写っています。 細胞の長さは 20~40μmです。



 上の2枚は腹葉です。 クジャクゴケやヒメクジャクゴケの腹葉の中肋が葉先に達するのに対し、本種の腹葉の中肋は中央以下で終わっています。

◎ 胞子体の様子もクジャクゴケやヒメクジャクゴケとは異なります。 こちらには蒴をつけたシナクジャクゴケを載せています。

(2021.3.2. 宮崎県日南市)

2021-03-15

ノコギリヒョウタンゴケ


 写真はノコギリヒョウタンゴケ Funaria serrata でしょう。 平凡社に載せられているヤマトヒョウタンゴケ F. japonica は本種のシノニムとされています。 1899年に長崎で記載されたのが最初で、生育が確認されている場所は少ないのですが、写真の場所ではとてもたくさんあり、ヒョウタンゴケのようにすぐにいなくなるような様子でもありませんでした。 岩月(1982)は日本蘚苔類学会会報3(4)で「案外西日本の都市に多く分布している種かもしれない」と書いています。

 サイズはヒョウタンゴケより小さいようです。(目盛の数字の単位はmmです。)


 ヒョウタンゴケの葉が全縁で中肋が葉先に達しているのに対し、本種の葉は上半部の縁に細かい歯があり、中肋は葉先に届いていません(上の2枚の写真)。

 上は帽の取れた蒴を正面から撮っています。 本種の蒴は口環を欠いています

 上は蓋にぴったり張り付いている蒴歯を蓋ごと外し、蒴の内側方向から撮った写真です。

(2021.3.2. 宮崎県日南市)


2021-03-14

シゲリケビラゴケ(雄株)

 宮崎県と鹿児島県の旅行(2月28日~3月3日)で、あちこちでシゲリケビラゴケ Radula javanica を見ました。 植物体は黄緑色、分布は紀伊半島、四国、九州の太平洋沿岸で、内陸部に向かうほど少なくなるようです。


 上の2枚は大隅半島の岩上で育っていた本種です(3月1日撮影)。 2枚目は腹面から撮っています。 本種は雌雄異株ですが、生殖器は確認できませんでした。


 上の2枚は日南市(宮崎県)の樹幹についていた本種です(3月3日撮影)。 こちらはたくさんの雄花序をつけています。

 上は腹面から撮っています。 腹片は方形、背片は長卵形で強く鎌状に下方に曲がり、キールと茎の成す角度は小さく、45°~50°の場合が多いようです。

 上は雄花序です。 背片と腹片の長さがほぼ同じになって袋状に変化し、雄苞葉となっています。時期的に造精器は残っていませんでした。

 上の2枚の写真の赤い円で囲った所では、キールの付近から裂けて背片を落とし、茎と腹片だけになっています。 このように背片が落ちやすいのも特徴の1つです。

 なお、本種は変化の激しい種で日本には2型が知られています。 ここに載せているのとは別の型では、背片は狭卵形で下方へ曲がらず、腹片は斜方形~菱形で茎に対して斜めに着き、葉はほとんど落ちないとのことです(山田1966:自然環境科学研究9)。

 上は葉身細胞で、小さなトリゴンがあります。

 上は茎の断面で、皮層細胞の細胞壁の厚さは内部の細胞のそれとは変わりません(薄壁です)。 ちなみに、上の写真では葉の断面も見えていますが、葉の表面は平滑です。

◎ 本種の雌株の様子はこちらに載せています。


2021-03-13

マツバゴケ

 

 昨日載せたアナシッポゴケモドキに混じって育っていたマツバゴケ Leucoloma molle です。

 葉は脱落し易く、上の写真の中央には、脱落した跡と、脱落しかけの葉が写っています。 脱落した葉は無性生殖(栄養生殖)に使われるのでしょう。

 葉は線状披針形で上半は針状です。 上は葉の中央部から基部にかけてですが、葉の最下部は欠けています。

 上は葉の基部で、大形で褐色の翼細胞が並んでいます。

 上は葉の中~下部の細胞の様子を撮った写真です。 右上が葉先方向で、左上には中肋が写っています。 葉身細胞には多くの小さなパピラがあります。 葉縁(写真の右下)には葉緑体を持たずパピラも無い舷があり、この舷と葉身細胞との間には葉緑体を持った線形で平滑な細胞からなる帯があります。
 下は上の写真よりもう少し葉先寄りの所です。

 パビラがよく分かるように撮影しました。

 上は葉先から1/4ほどの所で、葉縁には鋸歯が見られます。 まだこのあたりでは葉身細胞と中肋ははっきり区別できます。

 上は葉先付近です。 中肋が葉先から突出しているようです。

 上は葉の横断面です。 折れているのは葉縁が巻き上がり円筒形になっている葉を押さえつけたからでしょうか。

 上は中肋の横断面です。 ガイドセルの上下にステライドがあります。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

◎ マツバゴケはこちらにも載せています。

2021-03-11

ヨウジョウクサリゴケ

 

 写真の葉上苔類、以下の観察からヨウジョウクサリゴケ Drepanolejeunea follicola だと思います。 分布は平凡社の図鑑では紀伊半島以南となっています。

 上は腹面から背片にピントを合わせて撮っています。背片は楕円形に近く、鎌状には曲がっていません。 背片の先端は鈍頭です。 背片には眼点細胞があるのですが、腹片や気泡に邪魔されて分かりにくくなっています。

 背面から撮ると、気泡に邪魔されない所では眼点細胞がよく分かります(上の写真の赤い円内)。 上の写真では眼点細胞は1個ずつですが、2個が縦に並ぶこともあるようです。


 上の2枚は腹片です。 腹片は楕円形で、先端が環状に曲がり、第1歯(歯牙)は大きな単細胞で、第2歯は不明瞭です。 透明細胞が歯牙のキールと反対側の縁にあります。


 上の2枚は腹葉です。 腹葉の裂片は基部が1~2細胞幅で、4~7細胞長です。 上の2枚の写真のうちの1枚目は、このような腹葉もあるということを示したもので、多くの腹葉の切れ込み部は、2枚目のように、広U字形~弓形に広く開いています。

 上は葉身細胞です。

こちらには胞子体をつけたヨウジョウクサリゴケを載せています。 また、ヨウジョウクサリゴケはこちらにも載せています。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)


2021-03-10

サガリヤスデゴケ

 

 写真はサガリヤスデゴケ Frullania trichodes でしょう。 枝から垂れ下がっていました。


 背片は円頭~鋭頭、腹片は円筒形で長さが幅の2倍より長く、茎と離れる方向に少し傾いています。

 腹葉は縦長です。


 上の2枚は茎から切り離した背片です。 5~10個の眼点細胞が基部に集まっています。

 上は葉身細胞で、下はもう少し拡大した写真です。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)