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2024-11-14

ミヤコゼニゴケ

 写真はミヤコゼニゴケ Mannia fragrans で、これも今年の苔・こけ・コケ展に出されていたコケです。 和名に「ゼニゴケ」とついていますが、ゼニゴケ科ではなく、ジンガサゴケ科で、印象はジンガサゴケによく似ています。
 和名の「ミヤコ」は東京都で発見されたところからで、関東地方のあちこちで確認されはじめたコケですが、近年は全国に広がっているようです(私はまだ育っている所は見たことがありません)。
 本種は腹鱗片の付属物が葉状体の縁からはみ出して髭のようにみえるのが特徴で、ヒゲゼニゴケという別名もあるのですが、時期的なものか、採集されて時間が経っているためか、上の写真では、髭はわずかしか見えていません。

 上は腹鱗片とその付属物を取り出して撮った顕微鏡写真です。

2018-04-23

ジンガサゴケ(雌器托・胞子など)


 上はジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis の雌器托で、2018.4.17.に堺市南区高倉台で撮ったものです。 まだ胞子は飛び始めていません。


 上は雌器托の柄の断面で、赤い四角で囲った部分で表皮が柄の内部に落ち込んでいます。 下はこの部分の拡大です。


 表皮で囲まれた空間には、上下に走るたくさんの仮根の断面が見えます。 上の写真では仮根の断面が少し分かりづらいので、コンペンセータ(検板)に鋭敏色板(λ=530)を使った偏光顕微鏡で細胞壁を光らせて撮ったのが下です。


 仮根が集まり小さな隙間がたくさんできることで、毛管現象が起こり、水が上へ登って行く事ができます。 卵細胞が受精する時は、まだ柄は伸びていませんが、精細胞もこの通路の水の移動に乗って卵細胞へと向かうのでしょう。


 上は胞子と弾糸です。


 胞子を深度合成してみました(上の写真)。


 上は 2018.4.22.の撮影です。 多くの雌器托では、胞子を飛散し終えています。 右の雌器托では3個の胞子体はまだ開裂しておらず、右上の胞子体は、まさに胞子を散布中で、弾糸も細く黒っぽい糸状のものとして写っています。 下はこの胞子散布中の胞子体を拡大したものです。




2018-01-02

ジンガサゴケの若い雌器托の断面


 石垣の隙間に育っていたジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis、ジンガサゴケは雌雄同株で、別の枝に雌器托と雄器托をつけます。 上の写真の丸いものが雌器托で、黒褐色の小判型のものが雄器托です。 雄器托は色の濃いものがほとんどで、色の薄いものが少し混じっていますから、ほぼ精子を出し終える時期のようです。 ということは、雌器托の切片を作れば、造卵器の観察が期待できる時期です。


 上は雌器托のある葉状体を大きく撮ったもので、雌器托や葉状体の表面にある白っぽい小斑は気室孔です。


 上が雌器托の断面です。 雌器托の上部には気室がたくさん並んでおり、下部には造卵器が確認できます。


 上は気室の部分を拡大したものです。 ジンガサゴケの気室孔(気室と外とをつなぐ孔)はアーチ形です。 なお、ジンガサゴケの気室にはジャゴケの気室のような同化糸はありません。


 上は造卵器のある部分を拡大した部分です。 造卵器の頸がわずかに雌器托の外に出ているようです。

(2017.12.15. 堺自然ふれあいの森)

◎ ジンガサゴケの葉状体の特徴や雌器托の変化はこちらに、雄器托についてはこちらに載せています。


2017-05-08

サイハイゴケ属の一種


 上の写真で、葉状体の縁が反り返り、赤紫色の腹面が見えているのが、ジンガサゴケ科のサイハイゴケ属の一種 Asterella sp. です。
 サイハイゴケ属はジンガサゴケ属に似ていますが、偽花被があり、この偽花被が雌器床から垂れ下がります。 なお和名は、この垂れ下がる偽花被の様子を武将が指揮に使った采配に見立てたところからのようです。
 種名を調べる検索表も雌器床の形態を重視しており、雌器床が無いと同定はお手上げですが、とりあえず「サイハイゴケ属の一種」として載せておくことにします。

(2017.3.26. 徳島県海陽町 轟九十九滝)

2016-11-16

ジンガサゴケの雄器托

 ジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis の2月~4月の雌器托の変化を前に載せましたが(こちら)、今回は雌器托に先行して見られる雄器托の変化です。


 上の写真の①は若い雄器托でしょう。 若い雄器托はこのように鱗片ですっかり覆われているようです。 ②では雄器托が大きくなり、鱗片を押し広げて姿を見せ始めています。 ③になると鱗片は雄器托の周囲にへばりついたようになっています。 精子を出し終えると、次第に④のように褐色になっていくのでしょうか。

(2016.11.11. 京都府立植物園)

2015-07-10

ジンガサゴケ

 まずはジンガサゴケ( Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis )の葉状体の様子から。


 上は葉状体の表(背面)で、気室孔は表面に少し突出しています。 葉状体の縁は写真のような柴紅色になることがよくあります。


 上は葉状体の裏(腹面)です。 広三日月形で柴紅色の腹鱗片が2列についています。 この腹鱗片には1~2本の披針形の付属物が見られます。

 ジンガサゴケは雌雄同株ですが、今回は雌器托の生長を追いかけてみました。 和名はこの雌器托を陣笠に見立てたものです。


 早春、ジンガサゴケの葉状体の上に乗っているような丸いもの(上の写真)、これが若い雌器托です。



 4月になると、雌器托柄が伸び、雌器床は横に広がります。 雌器床を上から見ると3~5浅裂していて、横から見ると雌器床の下に白っぽい包膜が見えます(上の写真)。


 上も4月の撮影で、雌器托柄は急速に長く伸び、雌器床の下には黒い胞子体が見えます。


 上は雌器托を下から見たもので、若い時に胞子体を包み込んでいた包膜は縦に2裂しています。

◎ ジンガサゴケの若い雌器托の断面をこちらに、雄器托の様子をこちらに載せています。 また、雌器托の柄の断面や胞子の様子などはこちらに載せています。