2016-09-30

ハマベアワフキ


 上はハマベアワフキ Aphrophora maritima です。 分布は海岸に限らず、平地でも見られます。 2016.9.24.に堺自然ふれあいの森で撮ったものですが、これ1枚で逃げられてしまいましたので、下に以前上から撮ったものを載せておきます。

撮影:2013.7.23. 奈良県 馬見丘陵公園


2016-09-29

ヤママユ(メス)


 枯れかけたカラスウリの葉につかまっているヤママユ Antheraea yamamai のメスです。


 昼にはなかなか飛び立てないことは分かっているので、安心して近接撮影。


 上は触角の一部の拡大で、微細な毛がいちめんに生えています。 オスに比較するとお粗末な触角ですが・・・。


 上は脚の先の拡大です。 爪間板の両側に見える黒っぽい爪を、しっかりと葉にひっかけています。

(2016.9.27. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-28

ヒメロクショウクサレキン?



 写真は子嚢菌類のヒメロクショウクサレキン Chlorociboria omnivirens だと思いますが、よく似たものに同属のロクショウクサレキン C. aeruginosa があり、違いがよく分からないので、タイトルには「?」をつけておきます。 ロクショウクサレキンなら、椀(=子実層)の色がもう少し濃く、椀が深く、柄がもう少しはっきりしていると思うのですが・・・。
 中心性の柄を持ち、子実層には濃点があります。 名前の「クサレ」が示すように、木材腐朽菌の一種です。

(2016.9.27. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-27

ヤノネグサ


 湿地に生えていたヤノネグサ Persicaria nipponensis です。 なお、手元にある古い図鑑では属名が Polygonum(タデ属)となっていますが、この属は8属に分割され、 Polygonum はミチヤナギ属となり、本種を含むタデ類は Persicaria(イヌタデ属)に分類されています。


 花序は他の多くの Persicaria属ほどには長く伸びません。


 根元近くの葉は上の写真のようによく赤くなります。

(2016.9.24. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-26

ヤブツルアズキのメダカナガカメムシ


 ヤブツルアズキの葉に小さな白い白斑がいっぱい(上の写真)。 虫に吸汁された葉の組織が白化したのだろうと思い、吸汁した虫を探してみると・・・


 メダカナガカメムシ Chauliops fallax がたくさん見つかりました(上の写真)。 葉の裏をめくるとすぐに逃げ回り、吸汁しているところはみつかりませんでしたが、同じマメ科のクズなどでもよく見つかる小さなカメムシです(こちら)。 ヤブツルアズキの葉の白斑を作った犯人は、このメダカナガカメムシでまず間違いはないでしょう。


 幼虫もいました。 上の写真でたぶん終齢でしょう。 下はもう少し齢の若いもので、上と同じ拡大率にしています。


  昨日は、ヤブツルアズキにもアリをボディガードとして利用するための花外蜜腺があることを書きました。 しかし花外蜜腺が花序にあることや、アリに劣らぬ素早い動きをするメダカナガカメムシのことですから、アリはあまり役に立っていないようです。

(2016.9.24. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-25

ヤブツルアズキの花外蜜腺


 上はヤブツルアズキ Vigna angularis var. nipponensis です。 葉に小さな白斑がたくさん見られるのは虫のせいで、このことについては明日の記事にする予定です。


 花はねじれておもしろい形になっています。 上の写真で左下から右上に伸びている毛の多いのが茎で、真っ直ぐ下に伸びているのは若い果実です。
 よく似た花にノアズキがありますが、本種とノアズキとの関係や、本種と栽培されているアズキとは非常に近い関係にあることなどは前に書いていますので(こちら)、今回は重複を避けます。


 花を見ていると、上の写真のようにアリが集まっている所があることに気付きました。 集まるにはそれなりの理由があるはずです。 アブラムシの甘露を求めて集まっているのだろうかと思いながら、ルーペで確認してみると・・・


 アリ(種名はまだ調べていません)がこだわっている場所は、茎が少し膨れ、他とは少し色の異なる円い模様があるところです。


 アリを追い払って撮ると、液がしみ出てきています(上の写真)。 花外蜜腺のようです。
 花外蜜腺のことはこれまで何度か書いていますが、文字のとおり花以外のところにある蜜腺で、これを目当てにアリに来てもらうことで、植物を加害する虫たちをアリに追い払ってもらう効果があると考えられています。
 ヤブツルアズキの花序に花外蜜腺があることは、既に知られていることかもしれませんが、私の調べた範囲では、「花序の節が肥厚する」という記載はあっても、そこに花外蜜腺があるという記載は見つけられませんでした。


 上はヤブツルアズキの花外蜜腺の断面を作り、顕微鏡で撮影したものです。

(2016.9.24. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-24

トビイロシワアリ -巣の補修-



 連日の暑さがやっと終わったと思ったら、今度は連日の雨。 トビイロシワアリ Tetramorium tsushimae が雨で壊れた巣の補修に精を出していました。 蟻もたいへんです。

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-23

アオジソ


 写真は香味野菜や薬味などとして用いられ、大葉(おおば)とも呼ばれるアオジソ Perilla frutescens var. crispa form. viridis です。


 上は葉の裏です。 いちめんに小さな粒のようなものが散らばっていて、葉脈上には長毛があります。 これをさらに拡大すると・・・


 アオジソは香味野菜や薬味などとしてよく用いられます。 香りの成分はペリルアルデヒドであることが知られていますが、この粒のような腺点に入っているのでしょう。


 上は花です。 この花にもいろんな虫が来ていました。

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-22

イノコヅチの花の“作戦”?

 イノコヅチの果実はひっつきむしとしてはよく知られていて、もちろん果実ができる前には花が咲いているのですが、小さな花に気付かない人は多いでしょう。 その小さな花に複数種のハチが来ていました。 しばらく見ていると、小さなハエの仲間やシジミチョウなども訪花していましたが、やはりハチの仲間が多いようです。

ミカドトックリバチ

キンケハラナガツチバチ(オス)

 小さな花に似合わない大きなハチがつかまって、細長い穂状花序は垂れ下がってしまっています。 最初は「こんな目立たない花にも虫が来るんだ!」と感心していたのですが・・・
 以下はまだ妄想的な考察レベルですが、目立たない小さな花はイノコヅチの“作戦”かもしれないと思いはじめています。
 植物は同種の花に花粉を運んでもらって受粉することにこそ意味があります。 いろんな虫に来てもらっても、花粉を別の植物に運ばれては、花粉が無駄になるだけです。 そこで、あまり目立たないけれど学習能力の高いハチには分かる花を咲かせているのではないかと思うのです。 小さな花ですから蜜も少なく、ハチは次々と別のイノコヅチの花に移動するでしょう。
 イノコヅチは小さな花を次々と咲かせますが、1つの花の咲いている期間は短く、1つの株に注目すれば、咲いている花はごく少数です。 これも同じ株の花に受粉するのではなく、別の株に花粉を運んでもらうにはいい方法のように思います。

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-21

モエギアミアシイグチ


 写真はモエギアミアシイグチ Retiboletus nigerrimus だろうと思います。


 傘が開くと上のようになります。 大きさが分かるように10円硬貨を置いてみました。


 柄は少し緑色を帯びた薄い黄色で、黒っぽい網目模様があります。 傘の裏(管孔)は帯柴灰色~薄い肉色です。
 下は上の写真の傘の裏に傷をつけたものです。 傘の裏も肉も、傷をつけるとゆっくりと黒変します。


 イグチの仲間は食べられるものが多いのですが、このモエギアミアシイグチは幻覚性の毒キノコです。

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-20

エンマコオロギの幼虫



 写真のコオロギの仲間の幼虫、白い横帯が目立ちます。 白い横帯のある幼虫はエンマコオロギだけなのか、少し不安が残りますが、エンマコオロギの成虫がたくさんいた所にたくさんいた幼虫ですので、たぶん間違いはないと思います。
 成虫の図鑑はいろいろありますが、幼虫だけの充実した図鑑もあれば便利なんですが・・・

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-19

ナラタケモドキ


 コナラの切株にナラタケモドキ Armillaria tabescens がたくさん出ていました。 よく似たナラタケにはつばがありますが、本種にはつばはありません。


 味はナラタケには少し劣るものの、地方名もたくさんあるおいしい食菌です。 ただし消化の悪いきのこのようで、食べ過ぎに注意する必要はあるようです。

(2016.9.16. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-18

ネジレゴケモドキ



 写真はネジレゴケモドキ Tortella tortuosa です。 これも大阪市立自然史博物館の同定会で撮らせていただいたもので、葉1枚や葉身細胞の様子などはありませんが、中肋は多少突出しているようです。 石灰岩地によく見られるコケだということです。

◎ 蒴のあるネジレゴケモドキをこちらに載せました。


クサヒバリ(メス)


 上はクサヒバリ Svistella bifasciata のメスです。 2016.9.16.に堺自然ふれあいの森で撮りました。


 上は以前、11月上旬にオオカマキリの卵のうの上にいるところを撮ったものです。 前に真上から撮ったクサヒバリのメスを載せていますが(こちら)、この時も今回の1枚目も後脚の腿節ではっきり写っているのは内側です。 後脚腿節内側の黒い紋も特徴の1つなのですが、上の写真の後脚腿節外側の二本の黒条は分かり易い特徴です。

2016-09-17

ハリスギゴケ



 大阪市立自然史博物館で8月21日に行われた同定会で見せていただいたハリスギゴケ Polytrichum piliferum です。 葉は茎の上部に集まり、乾いた状態では上の写真のように茎に密着します。 葉の縁は内側に折れ畳まれていて、見えているのは背面の一部です。 中肋は長く飛び出し、透明な長い芒となっています。
 高地の日あたりの良い岩上や砂の上に生えるコケで、採集されたのは長野県大町市の高瀬ダム近く(標高1,300m付近)ということです。


2016-09-16

ウスバキトンボを捕らえたオオカマキリ



 オオカマキリがウスバキトンボを捕らえていました。 たぶんウスバキトンボがオオカマキリに気付かずに近くにとまったのか、とまっている所にそっと近づいたのでしょうが、捕らえるところを見たいものです。
 オオカマキリとチョウセンカマキリはよく似ていますが(違いはこちら)、写真のものはオオカマキリであることは確認済です。

(2016.9.3. 堺自然ふれあいの森)

2016-09-15

ナンヨウトゲハイゴケ



 大阪市立自然史博物館で8月21日に行われた同定会で分けていただいた、徳島県の海陽町産のナンヨウトゲハイゴケ Wijkia hornschuchii を調べてみました。 「ナンヨウ」という言葉のとおり、アジアの熱帯にも産しますが、日本の九州・四国・本州の湿岩上にも見られます。 また名前に「ハイゴケ」とありますが、ハイゴケ科ではなく、ナガハシゴケ科のコケです。




 葉は長さ1~1.2mm、中肋は無く、翼細胞は少数で、ときに黄色くなります。


 蒴歯は2列で、それぞれ16本ずつです。

◎ ナンヨウトゲハイゴケはこちらこちらにも載せています。