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2023-01-14

ヤクシマツガゴケ

 大分県・深耶馬渓の岩上に、とても明るい緑のコケ群落が育っていました(2022.12.6.撮影)。 上は下の赤い四角で囲った所です(写す角度は少し異なっています)。

 以下の観察結果から、このコケはヤクシマツガゴケ Distichophyllum collenchymatosum だと思います。

 葉は密に重なってやや扁平についています。


 同じ茎につく葉でも大きさに差異がありますが、大きい葉は2mmを超えます。

 葉縁の舷は2細胞列で、少し葉緑体を持っている(上の写真)ため、低倍率ではやや黄色に見えます。 なお、ツガゴケの舷には葉緑体は無く、無色です。

 細胞は葉先で小さく、基部に向かうにつれて次第に大きくなります。 上はほぼ中央の葉身細胞です。

◎ ヤクシマツガゴケはこちらにも載せています。

2020-04-06

ヤクシマツガゴケ


 写真はヤクシマツガゴケ Distichophyllum collenchymatosum でしょう。 渓流脇の水を被る岩上に育っていました。 南方系の蘚類で、和名に「ヤクシマ」とついていますが、分布は本州以南です。


 乾くとツガゴケ同様縮れます(上の写真)。


 葉は柔らかく、扁平につき、重なりあっています。 葉はツガゴケよりも大きく、長さは2mmを越えています。


 上は1枚の葉です。 中肋は葉長の 4/5ほどの長さです。 葉先の突起もツガゴケより長く、舷は幅広く、細胞壁のみの構成ではなくて葉緑体もあるため、うすく色がついて見えます。 細胞の大きさは葉先に近づくほど小さくなり、細胞の形も六角形から葉先近くでは円形に近くなっています。


 上は葉先近くの拡大です。


 上にも書いたように、葉身細胞の大きさは葉の基部と葉先付近とでは大きく異なりますが、上の写真は葉の中央部の葉身細胞です。

(2020.3.4. 屋久島)

◎ ヤクシマツガゴケはこちらにも載せています。


2020-04-03

キノボリヒメツガゴケ


 写真はキノボリヒメツガゴケ Disticophyllum yakumontanum です。 樹幹の地上高 1.5mほどの所についていました。 写真は少し乾燥して縮れぎみで、この縮れ方はツガゴケによく似ていますが、湿った場所を好むツガゴケが、このような高さの樹幹につくことはありませんし、ツガゴケよりずっと小さな印象です。
 本種は2005年に発見・新種記載され、絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。


 湿らせると上のような姿になります。


 植物体は小形で、葉の長さは1mmに届きません。


 葉は倒卵形~サジ状楕円形で、葉先に微突起があります。 中肋は太く、上の写真では急に細くなって右方に伸びていますが、枝分かれすることも多くあります。 舷は全周にわたり明瞭です。



 上の2枚は、葉先付近と葉の基部付近の拡大です。


 葉身中部の細胞もツガゴケよりもかなり小さいようです(上の写真)。

(2020.3.3. 屋久島)

2020-03-25

マルバツガゴケ



 写真はマルバツガゴケ Distichophyllum obtusifolium です。 水の滴る岩上で育っていました。 分布はこれまで九州以南とされていましたが、四国でも見つかっています(立石ら,2017)。
 上の写真では不明ですが、蒴は茎の途中についていることを確認しています。


 葉は扁平につき、密に重なりあっています。 長さは4mm前後で、ツガゴケよりひとまわり大きな葉です。


 葉は倒卵形で、円頭~広い鈍頭です。 ちなみに、種小名の obtusifolium は「鈍形の葉の」という意味です。 中肋は長く、葉縁には全周に舷が見られます。
 軟らかい葉で、上の写真では葉のあちこちが破れてしまいました。


 上は葉先付近の拡大です。


 上は蒴です。 平凡社の図鑑では、この属全体の蒴柄は平滑となっていますが、蒴柄全体にパピラがありました。


 蒴の下部には気孔があります(上の写真)。


 上の写真は蒴の内側から撮っています。 内蒴歯はまっすぐ伸びていますが、外蒴歯は内側に曲がっています。 蒴歯の長さは、両者でほぼ同じです。 外蒴歯には密な横条がありますが・・・


 外蒴歯の先にピントを合わせて、他をボケさせると、外蒴歯の先にはパピラがあることが分かります。

(2020.3.3. 屋久島)

【参考文献】
立石幸敏・木口博史・西村直樹(2017).轟九十九滝(徳島県海陽町)の蘚類.Naturalistae21.

2018-02-10

ツガゴケ


 明るい緑と濃い緑、色の違うコケが接していました(上の写真)。


 上は濃い緑のコケです。 葉が密でやや扁平についている姿を見ると、ツガゴケのようです。


 上は明るい緑のコケですが、やはりツガゴケのように見えます。 混み具合からすると、こちらの方が隙間が多いようですが、同じコケが同じ場所でこれほど色が違うものなのか、ほんとうに両方ともツガゴケなのか、確かめるために少し持ち帰りました。


 上の写真、光を当てると色の差がほとんど分からなくなりましたが、上が濃い緑、下が明るい緑です。 濃い緑の方が茎が長く、同種だとすれば、年月を経ているようです。


 上は濃い緑の葉ですが、明るい緑の葉もほぼ同じ特徴を持ち、いずれも図鑑のツガゴケの葉の特徴とよく一致します。


 上は濃い緑の葉身細胞で、下は明るい緑の葉身細胞です。 写真からは下の方が少し大きな細胞のようですが、ツガゴケの葉身細胞は葉の基部に向かうにつれて少しずつ大きくなります。 できるだけ葉の中央部の同じような所を撮ったつもりですが、この程度の大きさの違いでは何とも言えないでしょう。


 以上のことをまとめると、色の異なる2つのコケは、いずれもツガゴケ Distichophyllum maibarae でしょう。 なぜこんなに色が違うのかについては、少し性質の異なる2種のクローンが接しているのか、片方が落ち葉に覆われるなど何か違った環境下に置かれた時期があったのか、いろいろ考えられますが、結論は出せませんでした。

(2018.2.7. 堺自然ふれあいの森)

◎ ツガゴケの蒴については、帽のある蒴はこちらに、蓋の取れた蒴はこちらに載せています。

2018-01-05

ツガゴケの葉


 蒴をつけたツガゴケ Distichophyllum maibarae です。 見えている葉は、明るい緑色の新しい葉ばかりです。
 蒴については、帽を被った10月下旬の状態ほぼ胞子を出し終えている1月中旬の状態も前に載せていますので、今回は葉を中心に載せることにします。


 肉眼的には、新しい葉は色からしても、まるでアブラゴケの小さな葉のようです。 しかし、アブラゴケの中肋が無いのに対し、ツガゴケの葉には葉長の 4/5程度の長さの中肋があります。
 葉先には短い突起があります。 また、幅の狭い舷があります。


 葉身細胞は葉の基部で大きく、葉先近くでは小さいのですが、上は葉のほぼ中央部です。

(2017.12.15. 堺自然ふれあいの森)

2016-10-30

ツガゴケの帽


 帽のある蒴が並んだツガゴケ Distichophyllum maibarae です。


 ツガゴケ属の帽の下端は房状に細裂しています。 また、ツガゴケの帽の上部には数本の長毛があります。

(2016.10.25. 堺自然ふれあいの森)

◎ 蓋の取れた蒴を持つツガゴケはこちらに載せています。 またこちらにはツガゴケの1枚の葉や葉身細胞の顕微鏡写真を載せています。


2015-02-08

ツガゴケ


 写真は、水が滴り落ちる垂直に近い崖に生えていた、アブラゴケ科のツガゴケ Distichophyllum maibarae です。 小さなコケですが、濃い緑色で油のような光沢のある葉がびっしりと地表を覆っていると、なかなか美しいものです。


 ツガゴケの葉には中央脈が1本あります。 ツガゴケによく似たアブラゴケには中央脈はありません。


 蒴も小さく、2mmほどです。


 蒴歯は内蒴歯と外蒴歯の2重になっています。

(2015.1.19・24. 堺市南区豊田)

◎ 特徴のある帽を被ったツガゴケの蒴の様子はこちらに載せています。