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2023-06-01

フクラゴケ

 写真はフクラゴケ Eumyurium sinicum (別名ナワゴケ)です。 倒木上にありました。

 細い一次茎から立ち上がる二次茎は、葉を覆瓦状に密につけています。

 上は舟形に深く凹んだ二次茎の葉を、カバーグラスで押さえないようにして、水中に浮いた状態で深度合成しています。 葉には明瞭な縦ひだがあります。 葉先は急に細くなって尖っているのですが、その葉先は、上の写真では途中で折れてなくなっていますので、下に改めて載せておきます。

 葉先の細くなっている部分の長さは、葉によって異なりますが、長い場合は葉全体の2/5ほどの長さにもなります。

 上は葉がどのように凹んでいるかを知るために作成した葉の横断面です。

 葉の基部は褐色になっています(上の写真)。 翼部には少数の方形の細胞があるのですが、上の写真では、はっきりしません。

 葉身細胞は厚壁で、くびれがあります(上の写真)。

(2023.5.12. 愛知県設楽町 標高800m付近)

◎ フクラゴケはこちらにも載せています。

2023-04-20

コクシノハゴケ

 岩の壁を這うコケ、上の写真にはいろいろなコケが写っていますが、多くはコクシノハゴケ Ctenidium hastile です。

 特に這うタイプの蘚類は、育ち方でずいぶんと印象が変わります。 本種も、上の写真のように、茎が長さの揃った枝を左右にたくさん出しながらまっすぐに伸びている場合と、こちらのような密な群落をつくっている場合とでは、ずいぶんと印象が異なります。

 乾いた状態と湿った状態で、葉はほとんど変わりません。 枝の幅は葉を含めて約1mmです。

 上の写真は茎葉(中央)と枝葉(上と下)です。

 翼部の細胞はあまり明瞭な区画を作っていません(上の写真)。

 上は茎葉中央部の葉身細胞です(グレースケールに変換しています)。

(2023.3.10. 屋久島)

こちらには胞子体をつけた本種を載せています。 またこちらでは、よく似たクシノハゴケと比較しています。

2022-10-11

クシノハゴケとコクシノハゴケ

 クシノハゴケとコクシノハゴケ、名前のとおり後者の方が少し小形のようですが、野外で見た時には迷います。 上は 2022.9.30.に和歌山県の根古谷で撮った写真ですが、これも迷ってしまいました。
 どこに着目したらいいのか、平凡社の図鑑に書かれてある両者の特徴を表にしてみました。


クシノハゴケ コクシノハゴケ

Ctenidium C. capillifolium C. hastile
葉のつき方
葉を含めた枝の幅 1~2mm 0.6~1mm
茎葉 長さ (1.4~)1.6~2(~2.7)mm 約1mm
葉身部 三角形で非相称 広三角形~卵形で相称
最広部 基部、幅約1mm 幅0.4-0.6mm
葉先 漸尖 急に細く尖り曲がるか反り返る
基部 わずかに下延 心臓形で細く下延
乾くと こより状によじれる 規則正しく側方に展開
葉縁 全周に細かい歯
中肋 2本で短い 2本で短い or 不明瞭
葉身細胞 長さ 50-75μm 40-60μm
4-5μm 4-5μm
翼部の細胞 方形
枝葉 全体 小さく斜めに開出
長さ 1.4-1.7mm
0.5-0.6mm
胞子体 蒴柄 2.5-3.5cm 1.5cm
長卵形で曲がる 卵形で傾く
短い嘴 長い円錐形
少数の長毛 まばらに長毛

 どの項目も少しずつ違うのですが・・・。 やはり見慣れていない者には顕微鏡で葉をチェックするしかなさそうです。

2021-03-24

フクラゴケ(ナワゴケ)

 

 上の写真は、木の幹についているコケを、幹を見上げて撮った写真で、写真の上が梢の方向になります。 木の幹を這う一次茎から立ち上がった二次茎は葉を覆瓦状に密につけています。 分枝は少ないようです。
 ところで、コケ愛好家の集まりであるオカモス関西は、新型コロナの影響のため、このところビデオチャットサービスであるZoomを使った「コケサロン」を開催しています。 写真のコケの種名が分からなかったので、私もこのコケサロンに参加し、顕微鏡写真など数枚の写真を提示して意見を求めました。 写真からですし、小さな画面で分かりづらいこともあったでしょうが、いろいろ意見をいただきました。 その意見を参考に不足していた観察を追加した結果は、平凡社の図鑑の記載とは少し異なる点もあるのですが、フクラゴケ(ナワゴケ) Eumyurium sinicum だろうと思います。 分布は本州~琉球です。
 なお、この属名 Eumyurium は、野口(1947)が、他の Myurium とは色々の点で異なっているとして新属をたてたもので、写真のコケは Myurium hochstetteri ではないかという意見もいただきました。 Myurium属は世界的には広く分布していますが、岩月(1979)は日本の Myurium と思われていたものは Oedicladium であるとしています。(英文からですので、この理解が間違っているかもしれませんが・・・)
 Oedicladium属についても調べてみましたが、写真のコケに似たものはあっても、平凡社の記載からは、よく一致するコケはみつかりませんでした。


 写真のコケと同種と思われるコケは、あちこちに見られました。 場所によっては上の2枚の写真のように鞭枝状の枝を出しているものもありました。

 二次茎の葉は2mm前後で、茎の中上部の葉は縦ひだがありますが、下部につく葉にひだは見られません。


 上の2枚は、上が縦ひだのある葉、下はひだの無い葉です。 どちらの葉も広卵形で舟形に深く凹み、先は急に細くなって尖っています。 中肋はとても短く二叉しています。


 上の2枚は葉の基部です。 平凡社の図鑑では、「翼細胞は方形で褐色」とあるのですが、茎のどの場所についている葉を見ても、上の記載によく一致する葉は見あたりません。 たしかに他より矩形に近い細胞は少数存在するのですが・・・。 なお、野口図鑑には本種の翼細胞に関する図は載せられていません。

 上は右側の葉縁が折れて内側に来ています。 葉はほぼ全縁ですが、上の写真のように葉の上部に小さな歯が見られることもあります。

 上は葉身細胞です。 細胞の長さは 50~70μmです。

 上は二次茎の断面です。 表面近くは厚壁の細胞が厚い層を成しています。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

◎ フクラゴケはこちらにも載せています。


2020-05-12

コクシノハゴケ


 写真はコクシノハゴケ Ctenidium hastile でしょう。


 育っていたのはクヌギの樹幹です。 平凡社の図鑑では、本種の生育場所は「山地の岩上や地上」となっていますが、これも昨日も書いたように(こちら)、図鑑の記載には「多くは」が省かれている例でしょうね。


 枝は葉を含めて 0.6~1mm、蒴柄の長さは1cmほどです。


 茎葉は広三角形で、先は急に細くなり、葉縁には全周にわたり細かい歯があります。 短い2本の中肋がありますが、はっきりしません。


 翼部の細胞はあまり明瞭な区画をつくっていません。


 葉身細胞は線形で、長さは 40~70μmです。


 蒴は傾き非相称、蒴歯は2列、各列 16本です。

◎ コクシノハゴケはこちらにも載せています。

2020-05-03

オオキヌタゴケ


 写真はオオキヌタゴケ Oedicladium serricuspe でしょう。 キハネゴケに混生していました。 分布は本州~琉球列島です。
 一次茎は這い、小さな葉をつけていて、そこから立ち上がった二次茎には長さ2mm前後の葉を密につけています。


 二次茎の葉は披針形で長く漸尖し、深く凹んでいます(上の写真)。 中肋は短く、二叉しています。 葉縁上部には、上の写真の倍率ではよく見ないと分からないほどの小さな歯があります。 赤い矢印で挟んだ所は、弱く内曲しているため、真上から見ると、葉の幅が狭くなっているように見えます。


 別の葉で、もう少し全体にピントを合わせるためにカバーグラスを強く押したところ、葉が裂けてしまいましたが(上の写真)、弱く内曲している場所などは同じです。


 翼部には大型で透明な数個の細胞があり、その上に小型で厚壁な細胞が集まっています。 葉身細胞は厚壁で、細胞壁は細胞質と同程度の厚さがあり、所々くびれています。


 上は葉の中部付近の葉身細胞です。


 上は無性芽です。 無性芽は葉腋にあり、糸状で、パピラがあります。


 上は枝の基部にあった偽毛葉です。 枝の葉と重なって分かりづらいので、線を書き加えてみたのが下です。


 偽毛葉は小葉状で、縁には細胞レベルの歯があります。


 上は仮根で、仮根にもパピラがあります。 なお、西田ら(1980)によると、本種やその近縁種には、原糸体にもパピラを持つという顕著な特徴があるということです。

(2020.3.3. 屋久島)

【参考文献】
西田 雄行, 岩月 善之助(1980):蘚類オオキヌタゴケ及びキノクニキヌタゴケの原糸体形成.日本蘚苔類学会会報2巻10号.

2019-05-20

コクシノハゴケ


 上はコクシノハゴケ Ctenidium hastile です。 石垣の上で育っていました。


 這っている茎から枝を出します。 上は乾いた状態で。葉先が縮れている所もありますが、葉は規則正しく側方に展開しています。


 上は湿らせた状態ですが、乾いた状態とほとんど様子は変わりません。 茎葉の長さは1mmほどです。


 上は茎葉です。 広三角形で相称の葉身部から葉先に向かって急に細くなっています。


 葉身細胞の長さは 40~60μmほどです(上の写真)。


 上は枝葉です。 枝葉は小さく、披針形で、漸尖しています。

(2019.5.6. 奈良県 吉野山)

◎ 本種はこちらにも載せています。 また、こちらには胞子体をつけた本種を載せていますし、こちらにはよく似たクシノハゴケとの違いを載せています。

2017-01-29

クシノハゴケ


 山の斜面にクシノハゴケ Ctenidium capillifolium がありました。


 蓋の短い嘴、なかなかいい色してます。


 蓋が取れると上のようになります。


 葉の先は細くなっていますが・・・


 乾きはじめると細くなった葉の先が上の写真のようにこより状にねじれてきます。


 葉は薄く、中肋は短い2本からなるのですが、中肋の存在が光の加減でよく分からない葉もありました。


 葉身細胞は線形で、長さ 50~75μmほどのものが多いようです。

(2017.1.6. 堺市南区豊田)

◎ 帽のある蒴をもったクシノハゴケはこちらに載せています。