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2023-09-25

ヒメアカネ

 写真はヒメアカネ Sympetrum parvulum でしょう。 大阪府豊能郡能勢町の地黄湿地にたくさんいました(2023.9.24.撮影)。 湿地で見られるトンボ科アカネ属のいわゆる赤とんぼで、和名のとおり国内の赤とんぼでは最小です。
 本種はマユタテアカネよりひと回り小さいのですが、胸側面の黒色条の様子など、よく似ています。 両者のオスの確実な違いは腹端の上付属器の形で、マユタテアカネのそれが大きくそり上がっているのに対し、本種の腹端の上付属器は反りが弱く、ほとんど平らです(下の写真)。

 ところで、上の写真はオスが腹端の付属器でメスをつかまえていると同時に、メスはオスの腹部に4本の脚でとまっています。 このように、静止している時には4本の脚しか使わない昆虫がたくさんいることを、「昆虫の脚はなぜ6本か」に書いています。

2022-10-16

ミヤマアカネ・オオキトンボ

 今日(10月16日)、堺自然ふれあいの森で堺植物同好会の観察会があったのですが、そこでお会いした大阪公立大学の人たちが、日本でいちばん美しい赤トンボと言われているミヤマアカネを採集しておられました(この場所は原則採集禁止で、採集には許可が必要です)。 ここでは9月~10月にしばしば見られるトンボです。

 堺自然ふれあいの森では見られるトンボの仲間の種類も多く、珍しいトンボが見られることもあります。 以下は2013.10.14.に撮影し、同日に Part1の記事にしていたオオキトンボです。 私はその後の飛来は確認できていませんが、今も飛来しているのでしょうか。

 オオキトンボ Sympetrum uniforme は、2012年の環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されています。 大阪府下でも記録は府下全体にあるのですが、最近の生息情報は府の南部からのみのようです。 ようやく秋らしくなって、オオキトンボの様子を見に行ってきました。 9時半頃から10時半頃まで見ていましたが、長距離の移動もできる飛翔力のあるトンボのはずですが、思ったよりも動きは少なく、飛んでもすぐ近くにとまりました。 数頭見かけましたので、かなりいるようです。

 オオキトンボはアカネ属のトンボ(いわゆる赤トンボ)です。 アカネ属の特徴の1つとして、前胸部の背面に長毛が見られます(上の写真)。

 オオキトンボは岸辺が湿地状に広がり、抽水植物の多い開放的な比較的大きな池沼で見られています。 写真のオオキトンボのいた池は平地の皿池で、まさにこのような環境にありました。
 上で赤トンボの一種と書きましたが、オオキトンボはそんなに赤くはならず、これから成熟が進むと、暗い褐色がかった色になっていくようです。
 キトンボと似ていますが、オオキトンボの翅は全体が橙黄色であるのに対し、キトンボでは翅の基部に近い部分の色が濃くなっています。 また、成熟が進むとキトンボの方が明るい赤に近い色になっていきます。

2020-07-01

ミヤマカワトンボ、ニホンカワトンボ

 翅が褐色系のカワトンボ類2種です。


 上はミヤマカワトンボ Calopteryx cornelia のオスです。 2020.6.24.に奈良県宇陀市で撮影しました。 翅に光が当たっていないので少し分かりにくいのですが、赤褐色の翅の翅端近くに幅広い1条の濃色帯があります。

 上はメスです。 メスは腹部も銅色を帯びています。 2022.6.8.に神戸市北区道場町で撮影しました。 産卵はしばしば潜水して行われます。(2022.6.10.追記)


 上はニホンカワトンボ Mnais costalis だろうと思います。 2018.4.29.に京都市の大原で撮影しました。 本種の翅の色は、橙色の他に、淡い橙色、無色の3タイプがあります。 羽化後の未成熟な個体は金属光沢のある青緑色をしていますが、成熟するにつれて青白い粉で覆われてきます。 メスや羽化して間もないオスの縁紋は、上の写真のように白色ですが、オスの縁紋は赤色です。
 アサヒナカワトンボ Mnais pruinosa とは、縁紋の長さなどでかろうじて区別できますが、酷似しています。 近畿・中国地方では両種が混生し、ニホンは河川の中流域、アサヒナは上流域と、棲み分けがみられるようです。


2018-08-19

カトリヤンマ

 堺自然ふれあいの森の「森の館」の屋上から木道が伸びています。 この木道の目的は、1つにはエレベーターを利用して車いすなどでも森の中を楽しむことを可能にすることですが、地上からでは分からない木の高い所を観察するためでもあります。 樹間を縫うように通っていますから、薄暗い所もあちこちにあります。 そんな薄暗い所にカトリヤンマ Gynacantha japonica (オス)がいました(下の写真)。



 トンボの仲間は肉食で、飛んでいる虫を餌とします。 もちろんトンボの仲間の多くが蚊も餌としているわけで、なぜこのヤンマだけを「蚊取りヤンマ」と言うのでしょうか。
 じつはカトリヤンマは昼間は薄暗い所の木の枝などに止まってじっとしており、夕方に活発に活動します。 つまりこのヤンマが昼間にいる薄暗く風通しの悪い所は蚊が集まる所でもあります。
 これは私の想像ですが、カトリヤンマは蚊を好み、蚊の多い所に来ているのだと思われていたのではないでしょうか。

(2018.8.8. 堺自然ふれあいの森)

2017-09-12

ミヤマアカネ



 写真は日本でいちばん美しいアカトンボと言われているミヤマアカネ Sympetrum pedemontanum ssp. elatum のオスです。 メスや未熟個体の体色は赤くはなく、黄褐色です。 原名亜種のヨーロッパミヤマアカネはヨーロッパから中国東北部にかけて分布しており、種としての分布は日本が東限かつ南限になるようです。
 和名を漢字で書くと「深山茜」ですが、分布は深山とは限らず、丘陵地~低山地でも見られます。 ただ、幼虫(ヤゴ)は水深が浅くて緩やかな流水域で暮らすため、池や沼などの止水域ではあまり見られません。

 ところで、上の2枚はニコンの D7100 で撮った写真で、下はオリンパスの TG-5 で撮った写真です。 光の当たり方などで一概には言えませんが、そんなに変わらない写真が撮れているように思います。


(2017.9.9. 堺自然ふれあいの森)

2017-08-24

オオアオイトトンボ(メス)


 上はオオアオイトトンボ Lestes temporalis のメスの、下の写真の赤い四角で囲った部分の拡大です。 オオアオイトトンボはこちらにも書いていますが、頭部の背面付近を拡大するとこんなにおもしろいとは思いませんでした。


(2017.8.22. 堺自然ふれあいの森)

2016-10-11

リスアカネ

 いわゆる赤とんぼの一種ですが、この仲間にはノシメトンボやコノシメトンボなど、よく似たトンボがいます。 分かり易い区別点は胸部の模様ですが、以前載せたリスアカネは翅脈の影のためにはっきりしないので、再度の登場です。




 上に載せた3枚は全て別個体です。 複数個体を比較することで、個体差が消えて種としての特徴が見えてくるでしょう。
 観察会ではよくどこがリスに似ているのかという質問が出ますが、動物のリスとは無関係で、スイスのトンボ学者 Friedrich Ris の名前に由来します。 学名も Sympetrum risi です。

(2016.10.10. 堺自然ふれあいの森)

2015-06-12

ヒメクロサナエ


 写真はサナエトンボ科のヒメクロサナエ( Lanthus fujiacus )でしょう。 主に山間の渓流に生息する日本特産のトンボで、出現時期は春から初夏です。 生育場所が限られているうえに、成虫は樹上生活をしているのか、なかなかその姿を見ることはできません。 しかし写真の個体は、まだ羽化して間もないのか、あまり飛べないようで、飛んでもすぐ近くにとまりました。 ここに載せた写真を比較しても、向きは変えていても、ほとんど同じ場所です。





(2015.6.4. 金剛山)


2015-05-14

オオヤマトンボ


 草むらのヨシノアザミにオオヤマトンボ( Epophthalmia elegans )のオスがとまっていました。 羽化したばかりのようで、新鮮で、青い金属光沢や翅の前縁の黄色がよく目立ちます。 本来は飛翔スピードの速いオオヤマトンボですが、まだ飛べる様子ではなく、いい被写体になってくれました。




 オオヤマトンボはトンボ目トンボ亜目(不均翅亜目)のエゾトンボ科に分類されたり、このうちの2属6種を別の科(ヤマトンボ科)として扱われたりしています。 いずれにしても、このグループには青緑色の金属光沢の目立つ種が多くいます。

 ところで、オオヤマトンボのいた場所は、3面張りの水路からは20m、干上がることもある小さな水たまりからでも10mほど離れた草むらです。 ヤゴはこんなに移動して羽化するんですね。

2015-05-07

カワトンボ

 カワトンボ属のトンボは、似た種がいるうえに、同種であっても地域によって翅色のタイプが異なり、さらには成熟個体と未成熟個体とで翅の色や縁紋の色が変化する場合もあり、分類は従来から混乱していました。
 近年、DNAの塩基配列と外部形態による解析が行われ、ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの2種に整理されましたが、この2種がよく似ています。
 下は「堺自然ふれあいの森」で4月22日に撮ったものですが、とりあえずはこんなトンボがいたということで、タイトルはカワトンボとしておきます。(あえて決めろと言われれば、ニホンカワトンボのメスか未熟オスのような気がしますが・・・。)




※ 体色も光の当たり方で違った色に見えます。

2014-08-25

アジアイトトンボ・アオモンイトトンボ

 アジアイトトンボとアオモンイトトンボは、同じ属に分類されていて、とてもよく似ていますし、生息環境もよく似ていて、同所的に生息する場合も多くあります( 今回も同じ場所にいました )。

● アジアイトトンボ


 上はアジアイトトンボのオスです。 腹部は10節からなっていますが、上の写真では、そのうちの第1節から第9節まで、番号をつけておきました。 オスは腹端近くに水色の部分があるのですが、背面から見た水色部は第9節にあります。
 なお、メスは未熟期にはオレンジ色ですが、成熟するにつれて緑色になります( こちら )。


● アオモンイトトンボ


 アオモンイトトンボはアジアイトトンボより少し大きく、オスの腹部背面の水色部は第8節にあります(上の写真)。
 メスは成熟するにつれて、オレンジ色→緑色→褐色と変化する異色型と、オスに似た同色型のものがいます。

2014-08-23

オニヤンマの産卵


 上は堺自然ふれあいの森で、流れに沿って、メスを求めて往復飛翔するオニヤンマのオスです。


 上は産卵中のメスです。 オニヤンマのメスは、体の模様はほとんどオスと同じですが、腹部の端から細長い産卵弁が突き出ています。 メスは水面上からこの産卵弁を泥に挿入し(一瞬です)、産卵することを繰り返します(下の動画)。

2014-08-21

ギンヤンマの産卵

 トンボの仲間の産卵も、何にどのようにして卵を産むのか、種によって異なっていて、多様です。
 Part1に載せたオオシオカラトンボの産卵では、メスが単独で行う打水産卵でした。 では、ギンヤンマではどうでしょうか。


 ギンヤンマは胸部と腹部の境界部分の色でオスとメスを区別することができます。 オスは水色で、メスは黄緑色です。
 上の写真がギンヤンマの産卵の様子です。 周囲がゴチャゴチャしているうえに、水面にそれらが映って、少しややこしいですが・・・。
 ギンヤンマの産卵は多くの場合、雌雄が連結した状態で行われます。 前がオスで、メスの腹部の半分は水中に入っています。
 オオシオカラトンボなどの産卵と比較すると、ギンヤンマの産卵はとても静かで、産卵中は、少なくとも水上の見える範囲では、写真の状態のままで、ほとんど動きはありません。 卵を産みつけるところを産卵基質と言いますが、ギンヤンマは生きた植物の茎の中や、枯れた植物の茎の中など、様々なものを産卵基質とします。


 上は1枚目とは別の個体の産卵の様子を横から見たものです。 この場合も枯れた植物の茎の中に卵を産みつけているようですね。


 上は連結した状態の姿勢が水平になった場合です。 上の写真の場合は生きた植物の葉柄の中に卵を産んでいるのでしょうか。


2014-08-18

マユタテアカネ(オス)


 写真はマユタテアカネのオスでしょう。 マユタテアカネの名前は、顔面の額上部に眉班(びはん)と呼ばれる黒色斑点があり、これが眉を立てたように見えるところからです。 なお、この眉班は雌雄ともに見られます。
 翅は雌雄ともに透明ですが、メスには翅の端に黒褐色の斑紋がある個体もいます。