ラベル 1053 ソロイゴケ科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2026-08-03

オオホウキゴケ@7月


 オオホウキゴケ Solenostoma infuscum が造精器をたくさんつけていました(上の写真:京都府南丹市の音谷の滝にて2026.7.20.撮影)。
 本種は雌雄異株で、近くに花被などはみあたりませんでした。 葉は斜めにつき、広く開出して密に重なっています。

 葉は 1.5mm前後、仮根は多く、淡い赤紫色です。

 葉は卵状舌形で円頭です。

 葉身細胞は薄壁で、トリゴンは大きく、油体は各細胞に4~6個あり、球形~楕円体で、微粒の集合です。
 上は葉の基部の細胞で、油体などは明瞭に観察できたのですが・・・

 上は葉縁の様子です。 葉の中上部の細胞内は写真のように物質が充満しているように見えます。 この物質、反射光で見ると緑色に見える(=葉緑体が混ざっているはず)のですが、透過光で見ると、上のようにあまり光を通さず(=濃度が高い?)、黒っぽく見えます。 これまで私が見たオオホウキゴケは、いつも葉の細胞の多くがこのような細胞でした。

 上は細胞表面にピントを合わせています。 細胞表面には弱いベルカがあります。

 本種は普通種ですが、割合に多形で葉形、大きさなどは変化しやすく(井上『日本産苔類図鑑』の「ノート」)、似た種も多く、同定にはなかなか自信が持てず、何度もブログに載せることになってしまいます。
 本種は冬季にはしばしば赤色を帯びます。 冬を越した春先(3月初旬)の様子をこちらに載せています。
 胞子散布も春先です。 その様子をこちらに載せています。 そして4月になると、瑞々しい緑の葉を広げはじめます(こちら)。

2026-07-25

ハラツボミゴケ

 上は 2026.7.11.に京都府の美山町佐々里で撮った苔類です。 この仲間(ソロイゴケ属やツボミゴケ属)は、平凡社ではツボミゴケ属として37種が載せられていますが、検索表は花被が無いと使い物になりません。 ということで、今回もM氏の助けを借りることで、ハラツボミゴケ Solenostoma rotundatum だろうということになりました。
 上の写真の赤い矢印で示した所などに見られる粒状のものは造精器です。


 茎は匍匐~斜上し、直立していません。 葉を含めた茎の幅は 2.5mmほどあります。 赤褐色の仮根がありすが、束になって茎に沿って流下することはありません。


 葉は円頭でほぼ円形ですが、幅が長さより少し長くなっています。

 葉身細胞は薄壁で、トリゴンは発達しておらず、油体は各細胞に2個で微粒の集合です。

 葉縁の細胞は他の細胞とほぼ同じ~少し小形です。

 上は最初の写真の赤い矢印で示した造精器です。 短い柄がついています。

◎ ハラツボミゴケはこちらにも載せています。

2026-07-23

コナシガタソロイゴケ

 写真はコナシガタソロイゴケ Solenostoma minutissimum だと思います。 土の斜面にありました。

 葉は卵状舌形です(上の写真)。

 上は葉縁近くの、下は葉の基部近くの葉身細胞です。 大きなトリゴンがあります。

 油体は葉の下部に局在していました。 油体は球形~楕円体で、微粒の集合です。

 上の写真の中央の葉緑体の抜けた細胞を見ると、ベルカがあるようにみえます。

(2026.3.28. 六甲山・再度谷)

◎ コナシガタソロイゴケはこちらにも載せています。

2026-02-16

ホウキゴケ

 Fさんが屋久島から持ち帰られたコケを少し分けていただきました。 上はそのうちの1種で、ホウキゴケ Solenostoma comatum です。 採集されたのは2月7日のようですが、ちょうど胞子体が伸び出す時期だったようで、たくさん胞子体がついていました。
 葉を含めた茎の幅は2~4㎜、葉は長い舌形で、円頭(~亜切頭)です。

 上は腹面から撮っています。 赤褐色の仮根が茎から出ています。 仮根は多いのですが、束になったり、茎に沿って流下したりしていません。

 上は葉身細胞で、トリゴンは小さく、薄壁です。 油体は2~4個の楕円体~うじ虫形のものと小さなものが混じっています。 なお、小さな油体が見られないことも、しばしばあるようです。

 葉身細胞の表面には著しいベルカ(微小突起)が見られます。 上の写真のように葉緑体や油体が無くなった細胞を見ると、よく分かります。

 ペリギニウムはよく発達しています。 本来は断面を作って確認すべきですが、最内側の雌苞葉が造卵器の位置より上についていることは、外見からも想像できます。
 花被はねじれず、3稜です。 上の写真では分かりにくいのですが、左右(写真では上下)と手前に稜が張り出しています。

 上は花被の先端です。

 上は開裂した蒴です。 私は、ソロイゴケ科の胞子体は蒴柄の太さに比較して蒴の裂片が比較的小さいという印象を持っているのですが、どうでしょうか。

 上は蒴壁を内側から撮っています。

 上は胞子と弾糸です。

 上は茎の断面です。

2025-05-07

オオホウキゴケ

 

 瑞々しい葉を広げたコケ、オオホウキゴケ Solenostoma infuscum のようです。 上は2025年4月5日に京都市右京区京北上弓削町で撮影したのですが、私はこれまでこちらに載せたような赤いオオホウキゴケしか見たことが無く、特徴的なトリゴンのある葉身細胞を見ても、なかなか本種であることに気づくことができませんでした。

 上の写真、茎は匍匐~斜上しています。 無色~薄い紫色の仮根があちこち飛び出していて、仮根は多そうですが、束になって茎に沿って流下するタイプでは無さそうです。 葉は斜めにつき、広く開出して重なっています。
 葉の形は変異があるので、上の写真くらいの拡大率で多くの葉を見て判断すべきでしょう。 上の写真からは、葉は卵状舌形、円頭で、長さが幅より長いと言って良いでしょう。 また、背縁は、わずかですが、内曲しています。
 和名に「オオ」とついていますが、そんなに大きくはなく、葉を含めた茎の幅は3mmに届きません。


 葉身細胞は薄壁で、大きなトリゴンがあります(上の2枚の写真)。 油体は各細胞に4~6個あり、球形~楕円体で、微粒の集合です。

◎ 本種は雌雄異株です。 こちらには胞子体のある3月の雌株を、こちらには造精器をつけた7月の雄株を載せています。

2025-05-04

アカツボミゴケ

 写真はアカツボミゴケ Solenostoma rubripunctatum だろうと思います。 岩上にありました。
 アカツボミゴケとしたのは、その小ささと油体が確認できなかったことからです。 本種の特徴として、和名のとおりしばしば赤色を帯びることや、茎の先端に赤い単細胞の無性芽をつけることが挙げられるのですが、それらの特徴が確認できないのは、胞子を散布し終え、新しい葉をさかんに展開している時期だからだと考えました。

 上の写真のスケールの数字の単位が㎜ですから、かなり小さなソロイゴケです。 本種の花被は円錐形で3稜あり雌苞葉から超出し、ペリギニウムは花被の1/3~1/2長という特徴があります。 それらの特徴を確認しようとしたのですが、小さいことに加え、胞子体を伸ばしてから時間が経っていて花被の形が崩れていることもあって、確認できませんでした。 ただ、それらと明瞭に矛盾する点も、上の写真には写っていません。


 葉は茎に斜めにつき、円頭で全縁です。 小さなことに加え、できたばかりの葉で柔らかすぎるのか、左右に葉が開いた姿も、どうしても撮れませんでした。 葉の長さは 0.5~0.8㎜です。

 上は葉身細胞です。 最初に書いたように、油体は確認できません。 トリゴンもありませんし、倍率を上げて細胞表面にピントを合わせてもベルカも確認できませんでした。

(2025.4.19. 京都市右京区京北上弓削町)

2025-05-01

マイマイツボミゴケ

 先日胞子体をつけて元気の無いマイマイツボミゴケ Solenostoma torticalyx を載せましたが(こちら)、上は胞子体をつけていない元気な状態です。

 上は背面から見ています。 ソロイゴケ科としては大形です。 葉は縦に近い斜めについています。

 上は横から見ています。 写真上方が腹面で、少し仮根がついています。 葉は長さより幅の方が広く、葉の幅は1.5~3㎜あります。

 上は葉身細胞で、小さなトリゴンがあり、油体はブドウ房状です。

(2025.4.19. 京都市右京区京北上弓削町)

2025-04-23

ロゼットツボミゴケ

 上はロゼットツボミゴケ Solenostoma rosulans でしょう。 近畿地方以西の本州と九州の低地の、やや湿りがちの所に生育するのだと思っています。
 平凡社の図鑑では、ツボミゴケ科のツボミゴケとして載せられています。 和名が変更されたのは、「ツボミゴケ」は科名にも属名にもあり、種名と区別がつかず、混乱を避けるためだと思います。 新しい和名の「ロゼット」は種小名に由来し、種小名はバラ(Rosa)またはロゼット(rosette)に由来するのでしょう。 「ロゼット」はバラの花冠状の配列をいい、植物では葉などが短い茎から水平に八方に出ることをいうのですが、たしかに上の写真の葉は、この仲間の他種に比して横に近い斜めについています。

 葉は斜めに開出し、重なっています。

 葉は円形、円頭で全縁です(上の写真)。 長さは平凡社では 1.4~2㎜となっています。

 葉身細胞は薄壁で大きなトリゴンがあります(上の写真)。 油体は多く(平凡社では各細胞に2~10個)、球形~楕円体で、微粒の集合です。

 仮根は紫色で、束になり、茎を流下しています(上の写真)。

(2025.4.19. 京都市右京区 標高約500m)

2025-04-22

ツムウロコゴケ

 赤くなるコケはいろいろありますが(注1)、上の写真の崖を赤く染めるコケはツムウロコゴケ Solenostoma fusiforme でした(2025.4.5.に京都府右京区京北上弓削町にて撮影)。 北海道~九州の山地帯の湿った崖や土手などに生育するコケで、児玉(1971)の『近畿地方の苔類(第1部)』には、サイシュウソロイゴケの名前で、「決して普通なものではないが,京都付近や丹波高原には多い.」と書かれています。

 濡れていることもありますが、冬を越した部分は透明感のある美しい赤い色です。 そこから伸びだす新しい枝の葉にも透明感があります。

 茎の長さは1cm以上あります。 葉は斜めにつき、やや開出して接在しています。 仮根は多くありません。

 葉は卵形で、上の写真ではゴミで少し分かりにくくなっていますが、背縁基部がやや下延しています。 葉縁は大きな細胞で縁取られています。

 上は葉身細胞です。 トリゴンは小さく、油体は各細胞に1~3個あり、球形~楕円体で、ブドウ房状です。

(注1) このブログでは、シタバヒシャクゴケ、キブリツボミゴケ、ゴレツミズゴケなどの赤くなるコケを載せています。