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2024-12-21

マキバハナゴケ

 

 写真はマキバハナゴケ Cladonia polycarpoides だと思います。 鱗は表面が灰緑色、裏面が白色で、湿った状態では表面しか見えないのですが、乾くと上の写真のように巻き上がって白い裏面がとてもよく目立ちます。 和名は「巻き葉」で、この様子に由来しているのでしょう。
 写真の中央やや右上に子柄・子器が写っています。 本種が子柄・子器をつけるのは珍しいことです。

(2024.12.17. 兵庫県三田市)

2023-09-23

シラウオタケ

 

 北海道・雄阿寒岳山麓で見たシラウオタケ Multiclavula mucida です(2023.9.9.撮影)。 倒木に生えるきのこで、若い時は真っ白ですが、古くなると先端部が褐色になってきます。
 子嚢菌のような姿ですが、近年の分子系統解析の結果は、担子菌類のアンズタケ目とするのが妥当だろうということになっています。 子実層は子実体表面の少しうねっているようにみえる所に作られるようです。
 上の2枚の写真でもそうですが、本種の生えている周辺は緑藻で緑色になっています。 本種はこの緑藻に菌糸を絡ませ、緑藻と共生していることが知られています。

 地衣類は菌類が藻類を取り込んだ共生体です。 上の写真も地衣類が子実体を出している姿と見ることができます。 つまり本種は地衣類でもあるわけで、地衣類として「キリタケ」という名前も持っています。
 藻類と共生関係を持つ子嚢菌類は多いのですが、担子菌類は本種を含め数種がしられているのみです。

2021-09-25

センニンゴケ

 はじめに少し地衣類の話を・・・
 地衣類は菌類と藻類の共生が高度化し、あたかも単独の生物のように見ることもでき、かつては独立した分類群として扱われたこともありました。
 しかし生物として大切な生殖のしくみは菌類によって決められていますし、同一の地衣類で別の藻類が見られる場合もあり、最近では地衣類は菌類の生き方の選択肢の1つとされ、国際植物命名規約でも、地衣類に与えられた学名は、それを構成する菌類に与えられたものとみなす、と定められています。
 地衣類として生きている菌類の大部分は子嚢菌です。 これを子嚢菌側から見ると、子嚢菌は菌として菌根を形成したり、地衣化するなど、さまざまな生き方を工夫していると言えるでしょう。 なお、地衣化は多起源で、特定の分類群の子嚢菌に限られたものではないようです。 ちなみに、子嚢菌の約1/4が地衣化しているとのことです。

 上の写真の地衣類はセンニンゴケの仲間(コナセンニンゴケ?)でしょう。 菌類の分類はまだ確定されていませんが、ある分類によれば、子嚢菌門チャワンタケ亜門チャシブゴケ綱モジゴケ亜綱センニンゴケ目センニンゴケ科の1種ということになります。 なお、チャシブゴケ綱の多くは地衣化していて、ウメノキゴケやサルオガセなども、この分類群に含まれます。
 チャシブゴケ綱の子嚢菌は子嚢盤を形成します。 センニンゴケの子嚢盤はまるでキノコのようですが、そもそもキノコとは比較的大きな子実体をいう俗称であり、子嚢盤も子実体です。

(2021.7.23. 京都府 けいはんな記念公園)

2021-08-22

カブトゴケ属の一種

 

 ブナの幹についていた大きな葉状地衣、カブトゴケ属( Lobaria )の一種でしょう。 カブトゴケ属は22種あるとされ、主たる共生藻が緑藻である緑色カブトゴケ類と、主たる共生藻がシアノバクテリアである藍色カブトゴケ類に分けられますが、写真のカブトゴケは前者になります。
 下は上の一部の拡大です。

 上の写真の左の地衣体の縁にたくさんついているのは円筒状裂芽でしょうか。 当初絵合わせで、写真の地衣はナメラカブトゴケではないかと思っていたのですが、ナメラは栄養繁殖器官を持たないはずです。

(2021.7.9. 秋田県 岩手県寄りの標高800m地点)



2020-10-27

アカミゴケ・コアカミゴケ



  上はアカミゴケ Cladonia pleurota だろうと思います。 アカミゴケは冷温帯~亜寒帯を中心に分布する地衣類です。 上も北海道・樽前山の標高 650m付近で撮った写真で(撮影:2020.9.1.)、周囲はシモフリゴケです。 赤い子器は盃縁か盃縁から発芽した太い分枝の先につきます。


 上はコアカミゴケ Cladonia macilenta だろうと思います。 こちらは暖温帯に分布の中心を持つ地衣類で、地上や樹皮上などに生育する普通種です。 上は 2016.7.13.に京都市の西芳寺川で撮った写真です。


2020-04-21

オオキゴケ



 写真は屋久島で目立っていた地衣類で、オオキゴケ Stereocaulon sorediiferum だと思います。 分布は関東以西です。


 擬子柄は直立し、先端付近で多少分岐し、その先端に子器をつけています。 棘枝は擬子柄にほぼ均等につき、多くの場合、その先端に粉芽をつけています。 擬子柄の下部には頭状体がついています。 本種の地衣体は緑藻を共生藻としていますが、この頭状体には藍藻が入っているということです。

(2020.3.2. 屋久島)

2019-03-10

ロウソクゴケ



 樹幹にロウソクゴケ Candelaria concolor がついていました(上の写真)。 たくさんの粉芽をつけています。 上の群落の径は 1.8cmでした。
 この地衣類については前に載せていますので(こちら)、今回は腹面や断面の様子など、もう少しきちんと調べてみました。


 上は一部を剥ぎ取って腹面を撮っています。 腹面は白っぽく、白色の偽根がついています。


 上は断面です。 髄層と藻類層は明瞭に分かれていないようです。下皮層に接して黒っぽくなっている部分がありますが、これは気泡のせいだと思われます。

(2019.3.1. 堺市 鉢ヶ峯寺)

2018-06-10

トゲハクテンゴケ

 6月9日、山本好和先生を講師にお招きし、堺自然ふれあいの森で地衣類の観察会が行われました。 トゲハクテンゴケはそこで観察した地衣類の1つです。


 地衣類は生育形から葉状地衣、痂状地衣(痂(か)はかさぶたのこと)、樹状地衣に大別できます。 トゲハクテンゴケ Punctelia rudecta は葉状地衣の1種で、地衣体の大きさはウメノキゴケとほぼ同じような大きさにまでなることもありますが、裂片の幅は狭く、ウメノキゴケのそれのおよそ半分ほどです。
 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。


 あちこちに白点が散らばっています。 和名の「ハクテン」はこれに由来しているのでしょう。 この白点は「擬盃点」と呼ばれています。 前に地衣体の断面を載せましたが(こちら)、擬盃点では、このうちの上皮層と藻類層が無く、髄層が表面に出てきているために白く見えるようです。
 上の写真では、白点以外に、刺状~疣(いぼ)状のものもたくさん写っています。 これは「裂芽」と呼ばれているもので、下はその拡大です(実体双眼顕微鏡で撮影しています)。


 裂芽は擬盃点から生じます。 裂芽の先端の褐色になっている部分は「粉子器」で、このように裂芽の先に粉子器が生じる種はとても珍しいということです。

2018-04-07

地衣体の断面


 渓流横の岩上の水たまりにあった上の写真のもの、地衣類が水に浸かっているイメージはあまりなかったのですが、剥がしてみるとやはり地衣類のようでした。
 種名は分かりませんが、機会があれば地衣類の断面を作ってみたいと思っていましたので、水を含んでいて切り易いかいかもしれないと思い、切ってみました。 下がその断面です。


 上の断面に見える丸いものは子器ではないかと思っています。 下はさらに拡大して光学顕微鏡で見たものです。


 地衣類は藻類と菌類の共生体です。 藻類は光合成産物を菌類に分け与え、菌類は水分を保持し藻類の居場所を提供するとされています。
 上皮層と下皮層は密な組織で、内部を保護するとともに水分の保持に役立っているのでしょう。 藻類は光を受けて光合成を行い易い表面近くに集まっています。
 地衣類に共生している藻類はシアノバクテリアあるいは緑藻ですが、上の場合は、色からも細胞の大きさからも緑藻でしょう。

(2018.3.31. 三重県名張市赤目町長坂)

2017-11-27

地衣類3種のせめぎ合い


 写真の地衣類は左からモジゴケ属 Graphis の一種、チャシブゴケ属の一種(たぶんナミチャシブゴケ Lecanora megalocheila )、コフキジリナリア Dirinaria applanata ではないかと思います。 上の写真では、これら3種の地衣類が木の幹で互いに勢力を広げようとせめぎ合っているように見えます。 特にチャシブゴケが他の2種の地衣類と接している所は茶色くなっています。 何か他の地衣類にダメージを与える物質を出しているのでしょうか。

(2017.11.8. 宝塚市・武庫川渓谷)

2016-12-30

トゲシバリ


 写真は樹状地衣のトゲシバリ Cladia aggregata です。 大きさが分かるようにタカオカエデの葉を添えました。


 上の写真の左下のように、所々で穴が数個集まって開いていました。 位置からして枝の取れた跡とも思えないのですが、何か意味があるのでしょうか。


 上の写真の左上は明らかに枝の折れた跡でしょう。 枝は中空です。 このような中空の樹状地衣はハナゴケ科に分類されています。

(2016.12.14. 宝塚市最明寺川)

2016-09-04

ウグイスゴケ



 写真はウグイスゴケ Cladonia gracilis subsp. turbinata(ハナゴケ科)だろうと思います。 何がどうウグイスと関係するのかわかりませんが・・・。
 亜高山帯林内の比較的明るい朽木上や腐植質上によく見られる樹上地衣類の一種で、柄が長く伸び、先端は盃状か裂片状になります。 肉紅色のものは子器です。


(2016.7.21. 北八ヶ岳)

2016-08-13

ハナゴケ


 写真はハナゴケ Cladonia rangiferina でしょう。 花のように美しいコケ、といっても、蘚苔類ではなく地衣類です。


 枝のように見えるのは子柄で、その先端の小さな濃い色の部分が子器でしょう。

(2016.7.21. 北八ヶ岳)

2016-07-27

カムリゴケ


 写真はカムリゴケ Pilophorus clavatus でしょう。 固着地衣の一種で、地衣体は岩上に広がり、所々で柄を伸ばし、その上に黒っぽい子器をつけています。

(2016.7.20. 北八ヶ岳)

2016-07-16

ヒメジョウゴゴケ


 上はよく見るヒメジョウゴゴケ Cladonia humilis (堺自然ふれあいの森で撮影)ですが・・・


 上もヒメジョウゴゴケだろうと思います。 写真は雨が上がったすぐ後にとったもので、ラッパ状の盃となった子柄の上に水滴が乗っていて、それが凸レンズの役割をしていて、顆粒状となった盃の表面を拡大してくれていました。


 水滴をダイヤモンドに、子柄を台座に見立てて・・・。

(2016.7.13. 京都・西芳寺川)

2016-03-19

センシゴケ


 写真は樹幹に着生している地衣類のセンシゴケ Menegazzia terebrata です。 下はその一部を拡大したものです。


 センシゴケを漢字で書くと「穿刺木毛」で、たくさんの穿孔があります。 葉状体の裂片は平滑で、先端部の縁は褐色を帯びています。 上の赤い円は粉芽塊をつける部分だと思います。

(2016.3.13. 奈良県 川上村)

2016-03-16

アカサルオガセ


 写真はアカサルオガセ Usnea rubrotincta です。 サルオガセ類は樹皮に着生して懸垂する糸状の地衣類で、日本では40種類ほどが確認されています。



 日本に産する皮層が赤みがかるサルオガセ類には、写真のアカサルオガセ以外には、アカヒゲゴケ(アカサルオガセモドキ)Usnea rubicunda があります。


 アカサルオガセは、上の写真のように主茎が先端まで続き、仮軸となりますが、アカヒゲゴケの茎は二叉分枝を繰り返します。

(2016.3.13. 奈良県 川上村)

2016-02-25

レプラゴケの一種


 ヒノキの樹皮についているのは、地衣類のレプラゴケの一種 Lepraria sp. でしょう。


 上は1枚目の写真の一部を拡大して撮ったものです。 レプラゴケは不完全地衣類で、子嚢胞子の形成が見られず、地衣体全体が粉芽状です。 たくさんの種類があり、色もさまざまです。


2016-02-10

ロウソクゴケ


 上は地衣類のロウソクゴケ Candelaria concolor でしょう。 石垣に生えていました。 和名は、昔ヨーロッパで黄色いロウソクを作るのに、この色素を使ったところからのようです。
 学名がどのようにつけられたのかは知りませんが、私の調べた所では、ラテン語の聖燭祭は Candelaria ですし、種小名の con には「共に」の意味があります。 たぶん石油の蒸留残渣からのパラフィンを主成分とする白いロウソクを、それまで使っていた蜜蝋から作る黄色いロウソクに似せたのではないでしょうか。


 上は 4mm×3mmの範囲を撮ったものです。 葉状地衣で、裂片の縁付近に粉芽を付けています。


 育っていた所は上のような場所です。 手前はカラカラに乾いたチヂレゴケです。 (チヂレゴケの方にピントを合わせています。)



2015-12-18

ウスツメゴケ


 上の写真は山の斜面にあったウスツメゴケ( Peltigera dilacerata )を上から撮ったものです。 近くに生えているのはコハネゴケでしょう。
 ウスツメゴケは地衣類です。 黒っぽい部分が地衣体、橙色のものが子器で、地衣体が他のツメゴケの仲間に比較して薄く、子器が爪のように見えるところからの和名でしょう。


 上は斜め下から、子器の巻き込んでいる様子を撮ったものです。


 上の写真は左が湿った状態で右が乾いた状態です。 左は右とつながっていたものを、撮影直前に切り離し、湿らせたものです。 地衣類は菌類と藻類との共生体ですが、湿らせることで急に光合成をする藻類が増えるはずもなく、湿ると上皮層の反射が少なくなり、その奥にある藻類層の色がよく見えるようになったということでしょう。


 上の写真は乾いたウスツメゴケを裏側から撮ったものですが、湿った状態でも、裏の色はほとんど同じでした。 腹面と同色の脈が見られます。 黒っぽいのは偽根です。
 よく似たツメゴケの仲間にアカツメゴケがあるのですが、アカツメゴケの網状脈は褐色で、偽根は密につくとのことです。


 上は地衣体の断面です。 脈の横断面で切っていますので、中央下部が膨れています。 切片を作る段階で失ってしまった部分を点線で補いました。
 いちばん上の層が上皮層で、その下に藻類層があります。 ウスツメゴケなどの藍色ツメゴケ類はシアノバクテリアを共生藻としていますので、藻の細胞はとても小さく、その1つひとつを確認することはこの倍率では難しいでしょう。
 藻類層の下には菌類の菌糸を主体とする髄層があり、いちばん下に、上皮層より薄い下皮層があります。


 上は子器の断面です。 子器の内側(=写真の下方)に子のうができると思うのですが、よく分かりません。

(2015.12.9. 京都市 西芳寺川)